パソコン大手ブランド、華碩電脳(ASUS)は第2四半期のスマートフォン出荷台数が500万台を超え、ノートPC出荷台数を初めて上回る見通しだ。高コストパフォーマンスの「ZenFone」シリーズが市場に評価されている。アップルを除くスマホブランドが赤字に苦しむ中、ASUSは5月にスマホ事業で黒字転換を果たしており、通年黒字化も視野に入った。22日付蘋果日報などが報じた。
ASUSは今年3月に発売した「ZenFone2」が、6月に200万台以上の出荷を記録する見通しだ。インテルのCPU(中央演算処理装置)搭載で4GB(ギガバイト)メモリーのハイエンド機種が人気のため、台湾で18日、内蔵メモリー(RAM)4GB、ストレージ容量128GBの超ハイスペック機種を追加投入したところだ。このほか、中国では大規模なキャンペーンを実施。北米では通販サイト、アマゾンのSIMロックフリーのスマホ売れ筋ランキングで、アマゾンの「ファイアフォン」に次ぐ2位を獲得した。


 海外での販売好調により、ASUSは第2四半期のスマホ出荷台数が社内目標の480万台を上回り、四半期として過去最高の500万台以上となる 見通しだ。ただ、スマホは平均単価がノートPCより低いため、ブランド売上高は前期の1,021億台湾元(約4,080億円)を下回る恐れがある。一方、 第3四半期はノートPC出荷が500万台以上と前期比2桁増が見込まれるが、スマホはそれ以上に成長して差を広げる見通しだ。

 沈振来(ジェリー・シェン)執行長は、「ZenFone」の売上構成比は第2四半期に15-20%まで拡大し、第3四半期は20?25%、第4四半期は30%以上に達するとの予測を示した。

 証券会社は、ASUSのスマホは第2四半期に粗利益率が15%を超え、7億5,000万元?10億元の利益を狙えるとみている。

 市場調査会社によると、アップルは昨年発売したiPhone6シリーズが過去最高の出荷台数を誇り、スマホ市場全体の利益の9割を占めており、サムスン電子までもが苦汁をなめている。

  こうした中、ASUSは出荷台数では世界10位圏外ながら、ノートPC、タブレット端末、マザーボードまで幅広く手掛けることによる部品調達コストの抑制 能力に加え、北京小米科技(小米、シャオミ)に倣い、昨年3月に設立した「ASUSデジタルワールドインターナショナル(ADI)」によるネット直販で、 在庫を減らして販売コストを抑制し、黒字転換に成功した。月150万台を出荷できれば利益が出るため、今年の出荷目標1,700万?2,500万台を達成 すれば、通年黒字はほぼ確実だ。ASUSは、スマホ事業が今後3年にわたり業績のけん引役を担うと見込む。

 ASUSは10年以上前にス マホ市場に参入し、2009年からGPS(全地球測位システム)最大手のガーミンと「Garmin?ASUS」ブランドを立ち上げたが売れ行き不調で翌年 に提携を解消、12年にはタブレット端末にもなる「PadFone」シリーズを打ち出したが伸びなかった。そんな中、昨年発売した初代「ZenFone」 は低価格ながら高い性能が消費者に評価され、通年で850万台を出荷した。研究開発(R&D)とマーケティングの積み重ねが一気に花開いた格好だ。