経済産業省は供給過剰構造下で各社の業績が低迷している板ガラス業界に対し、産業競争力強化法50条に基づく調査を行い、再編を促す。新築住宅着工の減少による需要縮小に加え、中国メーカーの供給過剰で輸入増も見込まれる。
国内設備の統廃合により企業の収益性を高め、高機能ガラスの強化や他分野進出への投資余力が生まれる環境を整える。


 板ガラスの需要先は建築や自動車。世界シェアトップの旭硝子をはじめ日本勢は高い世界シェアを持つ。ただ、両分野とも国内需要は飽和し、生産量 と生産能力のギャップは14年度の26万トンから30年度には50万―70万トンに拡大する。また高機能ガラスや非ガラス分野に強い米大手のコーニングや PPGなどには収益性で大きく引き離されている。
 そこで経産省は化学業界を参考に複数社で設備を一体運営する有限責任事業組合(LLP)の活用 も視野に入れ、生産設備の統廃合を促す。企業間で素板スワップ取引の拡大も目指す。建築物向け汎用ガラスの需要は減るが、省エネ・安全性の高い建築物向け の需要は根強く残ることから高機能品へのシフトも促す。