ロイター通信やウォールストリート・ジャーナルなどの報道によると、中国のスマートフォン大手シャオミ(小米科技)がこのほど発表した今年上期(1~6月)の販売台数は3470万台だった。
 この上期の3470万台という台数は、昨年下期(7~12月)の販売実績、3500万台を下回っている。ロイターによると、シャオミは2013年から半年ごとの販売台数を公表しているが、直前の半年間の実績を下回るのはこれが初めてだという。
 同社は昨年、今年の年間販売台数目標を1億台としていたが、最近これを8000万台~1億台と、より控えめな目標に修正した。
 しかし、同社の主要市場である中国の成長が減速していることから、この修正目標値の下限も達成できない恐れが出てきたと、アナリストらは指摘している。


 これに先立ち、米国の市場調査委会社IDCが公表した今年1~3月期における中国のスマートフォン出荷台数は1年前の1億320万台から4.3%減少し、9880万台となった。同国で四半期出荷台数が前年実績を下回ったのは6年ぶりのこと。
 2011年に米国を抜き世界最大のスマートフォン市場になった中国では、その普及率が90%を超えており、すでに飽和状態に達したと指摘されている。
 英国の市場調査会社カナリスによると、シャオミのスマートフォン全出荷台数のうち、中国市場向けが90%を占めている。こうした状況を背景に同社は、インドやインドネシア、マレーシアなどのアジア諸国で販路を広げており、この7月にはブラジル市場にも進出する。
 だが、こうした海外進出による成長の速度が、中国国内市場の成長鈍化を補えるだけ十分速いものなのか疑問が残ると、アナリストらは懸念を抱いている。
  報道によると、シャオミの創業者で会長兼最高経営責任者(CEO)の雷軍(Lei Jun)氏は声明で、「中国スマートフォン市場の成長が減速している今の状況を踏まえると、我々の業績は前年同期比33%増となっており、素晴らしい」と 述べており、1年前の業績との比較を示してその好調ぶりをアピールしている。
 しかし、今年初めに同社が公表した昨年の年間販売台数は、前年比3.27倍だった。その年間売上高も同2.35倍と高い水準で、これらの実績と比較すると今回の「33%増」は見劣りすると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
 同社は昨年12月にシンガポール政府投資公社(GIC)やロシアのDSTグローバルなどの投資家から11億ドルを調達した。この資金調達で評価された同社の企業価値は450億ドルで、株式未公開のハイテク新興企業の評価額としては最高とも伝えられた。
 そして今、同社はこれらの資金を使って海外展開を進めている。だがブラジルでは、エレクトロニクス製品にかかる関税が高く、低価格化が難しいと指摘されている。
こ れについてロイターは、インドやブラジルなどの新興国市場で、シャオミは各国政府の保護貿易政策など様々な難題に取り組まなければならなず、レノボ・グ ループ(聯想集団)やファーウェイ(華為技術)といった中国競合も、国内外でシャオミに脅威を与えていると、伝えている。