消息筋によると、アップルは9月発売予定とされるスマートフォン新機種、iPhone6sを年内に9,000万台生産するようサプライチェーンに求めている。iPhoneシリーズで過去最大規模の初回発注量だ。アップルは供給不足に陥らないよう、鴻海精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)に加え、緯創資通(ウィストロン)にも発注し、初の3社生産体制とすることを検討しているようだ。10日付経済日報などが報じた。
 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、あるサプライヤーが、アップルから新型iPhoneを年内に8,500万~9,000万台生産するよう求められており、前モデルと同じく4.7インチと5.5インチの2機種との情報を明かした。
 昨年の初回発注量は7,000万~8,000万台だった。アップルは昨年、鴻海とペガトロンだけに生産を委託し、供給不足となった。このため、iPhone5cの一部をウィストロンに発注し、ペガトロンをiPhone6生産に集中させた経緯がある。


 アナリストの予測では、iPhone6sの5.5インチ機種は主に鴻海が、4.7インチ機種はペガトロンが4割を受注する。
 鴻海は中国河南省の鄭州工場で大規模な求人を行っており、8月からiPhone6sの量産に入るようだ。ペガトロンの上海子会社、昌碩科技もこのほど4万人求人計画を始動した。
  鴻海の6月連結売上高は前月比5.6%増、前年同月比0.5%増の3,185億5,600万台湾元(約1兆2,500億円)で、6月として過去最高だっ た。第2四半期連結売上高も前期比4%減の9,726億2,200万元で、同期として過去最高で、市場予測より良かった。上半期の連結売上高は前年同期比 12.74%増の1兆9,869億4,700万元だった。
iPhone6sは初回生産規模が大きいため、6月から部品メーカーの売上高が伸びてい る。パワーアンプ(PA)の宏捷科技(アドバンスド・ワイヤレス・セミコンダクター、AWSC)、全新光電科技(ビジュアル・フォトニック・エピタキ シー、VPEC)が過去最高、デジタルカメラ用レンズの大立光電(ラーガン・プレシジョン)は証券会社の予想を上回る51億元、筐体の可成科技(キャッ チャー・テクノロジー)は61億8,000万元で、6月として過去最高だった。アップルサプライチェーンは年内いっぱい好調が続きそうだ。
 な お、AWSCは今年第1四半期の粗利益率が33.13%と前年同期の1.95%から大幅に上昇した。アップルが高利益を手にし、受託生産メーカーは薄利と いわれる一方、レンズ、パワーアンプ、コネクタなど代替のきかない部品を供給するメーカーは粗利益率30~50%を誇っている。