ソニーは液晶パネルの調達機能を日本からマレーシアに移管した。需要動向や生産・出荷状況を計算し、液晶パネルを最適に調達する新システムを稼働した。液晶パネルの半製品を調達し、自社工場で画質を左右する光学部品を組み立てる取り組みを強化する。調達機能の移管で、半製品の調達比率を2015年度に現状の約5割から8割に高める。
 ソニーはグループ最大のテレビ生産工場をマレーシアのクアラルンプールに置く。商品企画から設計・開発、生産まで一貫して手掛ける。基幹部品の液晶パネルの調達も統合し、品質や生産効率を高める。



 週次の需要動向から生産・出荷状況の情報を基にリードタイムを計算し、パネル調達を最適にする新システムをこのほど導入した。基幹工場のマレー シアでパネルを一括調達し、中国やブラジルなど世界各地の工場に供給する。調達の現地化でパネル市況やテレビの生産状況などの変化に素早く対応できる。
  ソニーは12年に韓国サムスン電子と液晶パネルの合弁生産を解消後、複数のパネルメーカーから市況に応じて割安なパネルを購入できる体制に切り替えた。昨 年から「オープンセル」と呼ばれるパネルの半製品を調達し、画質を左右するバックライトや偏光板などを自社で内製する取り組みも本格化している。
 ソニーは単価の低い半製品を調達する一方、画質に大きく影響する工程の内製化で、テレビの差異化と調達の効率化の両立につなげる。
 これまで液晶パネルメーカーは付加価値の高い完成品の供給にこだわり、単価の低い半製品の提供に慎重だった。中国で液晶パネル工場が続々と稼働し、需給バランスが緩んだことから、半製品の調達が可能となった。