シャープは2016年度にも高効率の住宅向け新型太陽電池を投入する。新型は開発段階セルで光電変換効率25・1%を達成し、量産に向けて開発人員の集中投下を始めた。
生産には堺工場(堺市堺区)の薄膜太陽電池生産ラインを使い、低迷する稼働率改善に役立てる。設備投資はライン改良が中心のため少額で済む見込みだ。



 新型は単結晶シリコン表面にアモルファスシリコン(a―Si)膜を形成し電圧を高めるヘテロ接合と、電極をセル裏面に作り受光面積を広げて電流を大きく するバックコンタクト技術を組み合わせた。いずれも新しい技術ではなく、他社も製品化しているが、両方を組み合わせた製品化は、シャープが初めて。
  シャープの太陽電池は14年度に営業赤字が626億円に及んだ課題事業。堺でつくる薄膜太陽電池は建材用ぐらいの需要しかなく、工場売却もささやかれた。 傾注した産業用は縮小傾向のため、以前注力した住宅用の新型で起死回生を図る。ただ、住宅用太陽電池はおよそ20年使い続ける製品。14年度に再燃した経 営不安が影響し、取り扱いを渋る販売店も出ている。