経営再建中のシャープ は、液晶事業を分社化し、第3者と合弁会社を設立することを検討していることが複数の関係者の話で明らかになった。同事業の完全売却には消極的だという。
複数の関係者らによると、合弁会社の出資先として台湾の鴻海精密工業と政府系ファンドの産業革新機構(INCJ)が有力候補になっている。関係者のうち2人によると、出資額など正式な交渉には至っていないという。
シャープは2013年度に業績が一時黒字転換したが、その後液晶業界の競争激化で、14年度に2223億円の純損失を計上した。液晶事業で出資を受け入れることで、変動の激しい事業を切り離してリスクを分散することができる。



関係者のうち2人によると、INCJは合弁会社に出資の後、既に出資しているジャパン・ディスプレイと統合させる可能性がある。ただこの統合は、独占禁止法に抵触する恐れがあるという。

INCJ の広報担当者は問い合わせに対し、個別案件のためとして回答しなかった。鴻海の広報担当、ルイス・ウー氏も取材に対し回答しなかった。シャープの広報担 当、関喜文氏は電話取材に対し「液晶事業の構造改革についてさまざまな検討を行っている段階であり、現時点で個別企業と具体的な交渉に入った事実はありま せん」と述べた。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、シャープが液晶事業を分社化して出資先を検討することについ て、「時間はあまりないが、切羽詰まった状況でもない。焦ることなくいろいろな所と話しながら、会社にとって最善の選択を慎重にすればいい」と電話取材で 述べた。