市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)は8日、今年のスマートフォン出荷成長率は8.3%と初の1桁台にとどまり、来年は5.8%へとさらに下落するとの予測を示した。2007年にアップルが初代iPhoneを発売して以降、平均30%以上の年成長率を誇ってきたスマホ市場が成長の踊り場を迎えているとの見方だ。証券会社は、台湾積体電路製造(TSMC)、聯発科技(メディアテック)、群創光電(イノラックス)、鴻海精密工業など台湾の関連サプライヤーが影響を受けると予想した。9日付経済日報が報じた。
トレンドフォースの統計によると、13年の世界スマホ出荷台数は9億2,700万台で前年比30.6%増、14年は11億7,200万台で26.5%増と依然高い成長率を見せた。しかし今年は12億7,000万台、来年は13億4,400万台へと成長ペースが一気に鈍化する予測だ。



 アップルもスマホ市場減速の影響を避けられず、同社の来年のスマホ出荷成長率は7.5%と初めて1桁台に落ち込む見通しだ。iPhoneへの依存度が高い台湾のサプライヤーには懸念材料となる。

  アップルは昨年発売したiPhone6の販売好調が上半期も続き、同社の今年のスマホ出荷台数は2億2,300万台と前年比16%近く増加するとみられ る。しかし、間もなく発売するとされる最新のiPhone6sは外観がiPhone6とほぼ同じとなる可能性がある他、目玉スペックになるとみられる感圧 タッチ技術「フォースタッチ」や超高解像度4Kディスプレイも既に華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、ソニーの新製品に先行搭載されており、アッ プルの来年のスマホ販売に影響すると予想されている。

 証券会社は、スマホはここ数年、台湾電子産業の成長のけん引役だったと指摘。そのスマホの成長ペースが鈍化すれば、台湾の半導体、液晶パネル、組み立てメーカーなどに打撃となり、台湾の輸出全体に大きく影響するとの見方を示した。

  一方、トレンドフォースは、中国スマホブランド全体の今年の出荷台数は5億7,600万台と前年比10%以上の成長率を維持すると予測した。また、今年第 2四半期の世界スマホ市場で出荷台数上位10社のうち7社が中国ブランドだった。呉雅?同社アナリストは、中国スマホブランドが高い競争力を付けたことは 明白で、マイクロソフト、ソニー、宏達国際電子(HTC)など大手ブランドを脇に追いやり、世界的なスマホ産業の新たな再編の動きに拍車を掛けていると指 摘した。

 なお、中国スマホブランド製品は現在、本体部品の8割を海外メーカーから調達している。しかし、中国政府はサプライチェーン現地化を支援しており、中国ブランドが国内での部品調達率を高めれば、台湾サプライヤーの受注減少につながる恐れがある。

 韓国経済新聞によると、サムスン電子は本社の従業員を10%削減し、来年の一般経費も50%削減するもようだ。スマホ市場の停滞などで同社は昨年に続いて今年も売上高を減らすと予想され、先手を打つ必要があると判断したとみられる。

  スマホ関連業者では、マイクロソフト、クアルコム、聯想集団(レノボ)、HTC、パナソニックが大規模な人員削減に踏み切る方針で、HTCは10月末まで に台湾の本部、工場で計600人を解雇する計画が明らかになっている。サムスンの人員削減計画が事実であれば、スマホ業界に押し寄せるリストラの波がます ます大きくなってきたことを意味する。