今月、ドイツ・ベルリンで開催された世界最大級の家電見本市「IFA2015」で、パナソニックが出展した有機ELテレビが業界を驚かせている。部品まで自社製にこだわる自前主義の放棄は規定路線とはいえ、基幹部品のパネルをかつての宿敵、韓国LG電子から調達しているからだ。有機ELは高精細なため次世代テレビとして期待されるが、生産の困難さから各社が開発を断念し、テレビ用パネルはほぼLGしか生産していない状況。新商品からは、ライバルとでも手を組まざるを得ないそれぞれの事情が透けてみえる。


パナソニックは25年度でプラズマテレビ事業から撤退して以降、大画面薄型テレビはすべて他社のパネルを使用している。液晶パネルはサムスンやLGのほか、台湾メーカーなどから調達している。  パナソニックのテレビ事業はプラズマパネル工場への過剰投資もあり赤字が続いていたが、27年度は黒字化を見込んでいる。一時はテレビ生産からの撤退も検討されたが、30年度のテレビの生産台数を27年度見込みの約1・5倍の1千万台を計画するなど、再び成長路線に舵を切っている。
パナソニックは日本と東南アジアのほかに、性能に対する要求が高い欧州を重点市場と位置づけており、欧州向けの最上位機種としては、いまだ画質面で優位性のある有機ELテレビが必要と判断。パネルの外販を拡大したいLGと方針が一致した。
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