シャープは28日、大阪市内にある本社ビルと向かいの建物をニトリホールディングス傘下のニトリなどに売却すると発表した。2016年1~3月期の連結決算で148億円の売却益を特別利益として計上する。主力の液晶事業が低迷しているシャープは固定費の削減を進めており、早期の経営再建を目指す。

 売却の対象は本社ビル(土地面積7370平方メートル)と液晶事業部門が入る田辺ビル(同1万812平方メートル)。本社ビルはニトリ、田辺ビルはNTTグループの不動産会社のNTT都市開発に16年3月18日付で売却する。それぞれ商業施設、高層マンションになるとみられる。



 シャープは物件の引き渡し後も当面は、両社と賃貸借契約を結び、18年3月頃まで継続して使う。新たな本社の移転先は検討中としているが、大阪 市内や工場のある大阪府八尾市などが候補とみられる。資産売却に伴う16年3月期通期の業績予想については「合理的な算定が可能となった時点で公表する」 という。

 シャープは5月に経営再建を骨子にした中期経営計画を策定し、固定費削減の具体的な施策として本社の売却に加え、従業員の給 与・賞与の削減などにも取り組んでいる。資産売却では、液晶パネルや太陽電池を生産する堺工場(堺市)の敷地の一部や、千葉・幕張地区の大型ビルなども検 討している。