LG Display社の2015年通年の有機ELパネル出荷枚数目標は40万~50万枚。従来目標の60万枚から引き下げた。四半期の構成比は第3四半期が25%、第4四半期が50%。第3四半期までは55型が中心だったが、第4四半期は65型および77型の比率が増加する見通しである。  2016年は100万~150万枚を目標としており(従来目標は150万枚)、65型および77型の比率を40%に引き上げる計画だ。数量目標の修正は主にサイズ構成の変化、具体的には65型や77型の比率上昇によるものとしている。
 歩留まりは予定通り改善しているとし、55型は第3四半期時点で既に、液晶並みの水準に達していると述べた。ただし解像度や仕様など、具体的な比較対象についての言及はない。65型および77型については、現時点で液晶ほどではないものの近い水準に到達。2015年末か2016年前半には液晶に近い水準まで改善する見通しという。ただしコストに関しては、量産規模の違いから液晶と比較できる段階にはないとし、具体的な言及を避けた。


第4四半期に関しては、前四半期比で出荷面積は増加、ASPは上昇(iPhone向け比率上昇の影響が大きいとみられる)、稼働率は若干低下というガイダンスが示された。これにもサプライズはない。LG Display社は2015年9月に1割程度の生産調整をG5とG8を中心に行うなど、パネルメーカーの中では韓国Samsung Display社、台湾AUO社と並んでかなり厳格な在庫管理を行っている。
LG Display社が有機ELへの注力を強調する理由は2つ考えられる。第1に、歩留まりの向上もあり、技術的な課題克服に自信を持ちつつあること。第2に、中国パネルメーカーとの競争回避である。  まず第1の点について。同社のテレビ用有機ELパネルはOxideベースの基板を使い、有機EL工程は白色蒸着を行ってその上にカラーフィルタを載せる形だ。現在、55型FHD、55型UHD(4K)、65型(UHD)、77型(UHD)の4機種を生産している。
 中長期で見た場合には、現在の製法や基板サイズが最善のソリューションとは考えにくい。基板はOxideのままでよいとしても、基板サイズは願わくはG10.5(65型×8枚、75型×6枚)、最低でもG9(65型×6枚が取れるサイズ)が望ましい。現在のG8では65型は3枚しか取れず、利用面積効率も非常に低い。有機ELの方式も、白色+カラーフィルタではコスト高で透過率の問題などもある。
Move to full article