中小型液晶パネルメーカー、中華映管(CPT)の林盛昌総経理は5日、解雇しないという前提の下で、来週10日から14カ月間、週1~2日の無給休暇を導入することを明らかにした。対象は間接人員(管理職、事務職、工場のエンジニア)で、3,000人近い。今回のパネル不況を受けて、業界の先頭を切っての無給休暇実施となる。6日付経済日報などが報じた。
中華映管は、当局に無給休暇の届け出は済んでおり、6日から従業員に同意書へのサインを求めると説明した。直接人員は3組2交替制を4組2交替制に切り替え、労働時間を減らす。会社と従業員が一体となって、パネル不況を乗り切りたいと表明した。
 桃園市政府労働局の潘鴻麟局長は同日夜、無給休暇の届け出はまだ出ていないが、上限は1回3カ月だとくぎを刺した。



 同社従業員がマスコミに漏らした情報によると、無給休暇は毎週火曜と金曜で、期間中は送迎バスも運行しない。ある従業員は、残業もなくなるので、給与は 月1万台湾元(約3万7,500円)以上減ると不満をあらわにした。また、無給休暇が週1日だった世界金融危機当時より深刻な事態だと語った。
  中華映管の年次報告書によると、台湾の従業員は6,059人で、内訳は間接人員3,240人、直接人員2,819人。同社は先週、桃園市八徳区の第4世代 工場を凌巨科技(ジャイアントプラス・テクノロジー)に売却、龍潭工場の第4.5世代生産ライン1本を停止し、525人を整理解雇すると発表しており、無 給休暇の対象となる間接人員は3,000人以下となる。同社は年末に、例年通り龍潭工場と楊梅工場でも人員見直しを行う。龍潭工場で稼働している生産ライ ンは第4.5世代2本、第6世代ライン1本。楊梅工場はカラーフィルターの生産ラインだ。
 林総経理は、高付加価値の車載用、産業用パネルのカス タムメイド製品に転換を図り、価格競争から脱却すると方針を述べた。また、中国政府による地場産業支援で勢力を増している「紅色供給網(レッドサプライ チェーン)」にも加わりコスト競争力を向上させる。同時に、フレキシブル(折り曲げ可能)パネルや透明ディスプレイなど製品の多角化を図る。これら「3本 の矢」で、苦境を乗り切りたい考えだ。
 林総経理は先日、中国の携帯電話市場が振るわない中、中国メーカーの生産が過剰で、中小型パネル価格は続落していると話していた。
  台湾パネル業界では、友達光電(AUO)が9月に新竹科学工業園区(竹科)の第3.5世代工場を売却し、73人を解雇した。瀚宇彩晶(ハンスター)も9月 末に31人を解雇。パネル部品業界では、バックライトモジュールメーカーの中強光電(コアトロニック)が10月に竹科、南部科学工業園区(南科)で127 人を解雇し、中国の南京拠点を閉鎖した。