パナソニックは2017年度をめどに鮮明な画像が特徴の有機ELテレビを国内で発売する。有機ELテレビは現在、日本で韓国LGグループのみが販売している。パナソニックの機種は65型で100万円を切らない価格になる見通し。フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ同型の液晶4K機の3~4倍になるとみられるが、高級機種の象徴として富裕層などに売り込む。

 有機ELテレビは自ら発光する有機材料を使う。液晶と比べ色がきれいで表示の切り替えも速いため、画質を良くしやすい。ただ量産が難しいため供給者が実質的にLGに限られ、14年の世界市場は10万台と液晶の約2億台に比べ普及が遅れていた。



 パナソニックは有機ELパネルをLGから調達し、独自の画像処理技術を用いることで特長を出す考えだ。一足早く10月末に欧州向けに65型を 9999ユーロ(約130万円)で発売したところ、画質の高さで一定の評価を得たという。価格は高くても愛好家などの需要も見込めるとして国内でも商品化 する。生産は宇都宮のテレビ工場を活用する公算が大きい。

 米調査会社のIHSテクノロジーによると、14年に570万台まで落ち込んだ 日本の薄型テレビの需要は、東京五輪に向け19年に870万台に回復する見通し。パナソニックは有機ELのほか、液晶4K機を現在の13から5割増やす。 高級機種を前面に、18年度のテレビの国内販売は14年度比2倍の250万台規模への引き上げを目指す。

 パナソニックの15年度の薄型テレビ販売計画は650万台。不採算機種の販売を抑えたため、10年度の1671万台をピークに大幅に減っていた。