シャープの小谷健一執行役員(デジタル情報家電事業本部長)は19日、2015年度に赤字計画の液晶テレビ事業について「15年度下期から16年度にかけて安定した黒字体質に持っていける」との見通しを示した。
来期黒字化すれば、13年度以来3年ぶりとなる。液晶売却を検討する中で、液晶テレビ事業は「きちんと継続していく」と強調した。
同日、液晶テレビの中核拠点の栃木工場(矢板市)を報道陣に公開し、テレビ事業の見通しについて記者団に述べた。



シャープの液晶テレビの販売ピークは2010年度の1482万台だったが、15年度の販売計画は590万台で、前年同期の703万台から一段と減少する。すでに欧州から撤退し、北米・中南米の撤退も発表済みで、今後は日本、中国、アジアに特化する方針。

4―6 月期のテレビ事業は、中国市場の在庫増で赤字を計上したが、7―9月期は国内4kテレビのシェア増加で黒字に転換。課題の中国も7―9月期に黒字化し、下 期も黒字継続の計画という。16年度以降は、主要市場の国内で買い替え需要が期待できることや、2020年に向けて4k・8kの高品質市場が拡大すること で「テレビ事業は回復基調に入っていく」(小谷執行役員)見通しという。

テレビの生産拠点は、ポーランド工場を昨年12月に売却し、メキシコ工場は来年1月に売却予定。これにより主要拠点は、栃木工場のほか、中国・南京工場、マレーシア工場の3カ所となる。

小谷執行役員は栃木工場について「設計開発・生産を一体で行うマザー工場として、テレビ事業をやる上で絶対に必要な拠点」と述べ、同工場の存続を強調した。

南京工場は「大きな工場なので閉める意図は全くない」としたが、アジア市場では、マレーシア工場のほか、インドネシア工場でも一部生産しており、「アジアが鈍化するようなことがあれば(生産拠点の見直しも)検討課題になるかもしれない」と述べた。