市場調査会社、IHSの予測によると、テレビ用液晶パネルの下半期オファー価格は2~3割下落し、世界金融危機時を上回る最悪の下落幅となった。下落傾向は来年1~2月まで続く見通しだ。一部パネル価格はもはや材料費とほぼ変わらない水準にまで落ち込み、このまま下落が続けば群創光電(イノラックス)、友達光電(AUO)は第4四半期、来年第1四半期と2四半期連続で赤字に陥る懸念がある。25日付経済日報などが報じた。
IHSは同日、台湾スマートディスプレイカンファレンスを開催した。謝勤益シニア研究総監は、大型パネル価格は1平方メートル当たり220米ドルまで下がっており、中国メーカーは政府の補助があるので損失は出ないが、台湾メーカーは赤字を回避できないと予測した。



 楊静萍IHS研究総監は、パネル景気は「厳寒」と指摘。現在のパネル価格下落幅は2008年の世界金融危機当時を超えており、15~16年は10~11年同様のパネル低迷期が繰り返されると予測した。
  謝総監によると、現在パネルメーカーの世界平均の稼働率は85%。シャープと鴻海科技集団(フォックスコン)合弁の堺ディスプレイプロダクト(SDP)の 第10世代工場だけが、60インチ以上の大型テレビ用パネルの顧客が少ないため稼働率を75%まで引き下げている。サムスン電子は12月に減産を計画して おり、来年春節(旧正月)にはパネルメーカーの減産が拡大する見通しだ。これにより、来年第1四半期に稼働率が平均80%まで下がり、第2四半期から価格 が反転上昇するものの、謝総監は来年の市況をやや慎重視している。今年パネルの生産能力は8%増加するが、需要は5%増にとどまり、来年は生産能力7%増 に対し、需要は5~6%増と、供給過剰が続く予測のためだ。
 謝総監は、中国で第8.5世代工場の稼働が相次ぎ、中国のパネル生産能力は来年第4四半期に台湾を上回り世界2位に浮上、17年には韓国を追い抜き世界首位に立つと予測した。
謝 総監は、中国パネルメーカーには中国政府の支援、世界最大の中国市場という優位性があり、弱点の技術力を強化すれば急速に成長するとして、「紅色供給網 (レッドサプライチェーン)」は軽視できないと警告した。また、イノラックスとAUOについては、今年黒字が続いているものの大規模な投資を行っておら ず、ニッチな分野を狙う以外にないと指摘した。
 なお、中国メーカーが高水準での生産を続ける32インチパネルは価格が急落し、台湾メーカーはほ ぼ撤退、韓国メーカーは来年減産する。一方、40~43インチパネルは価格下落に伴い需要拡大が予想され、来年の出荷規模は7,900万枚と、32インチ の7,000万枚を超える主流サイズとなる見通しだ。