シャープは液晶パネルや太陽電池を生産する堺工場(堺市)の遊休地を大和ハウス工業に売却する交渉に入った。東京ドーム7個分に相当する30万平方メートル程度を対象にしており、売却額は100億円規模になる可能性がある。シャープは主力の液晶事業の不振などで2015年4~9月期は836億円の連結最終赤字となった。業績悪化で資金繰りが懸念されるなか、資産売却を急ぎ再建に向け構造改革を着実に進められるようにする。



 堺工場はシャープが2009年に稼働した世界最大規模の液晶パネル工場。巨額投資が裏目に出て経営危機に陥ったため、現在はシャープと台湾の鴻 海(ホンハイ)精密工業が37.6%ずつ出資する会社が工場を運営している。敷地はシャープが保有しており、全体の面積は約127万平方メートルに達す る。半分程度が遊休地となっており、今回は、その半分近くを大和ハウスに売却し資金を回収したい考えだ。

 堺工場は高速道路の出入り口近くにあり、交通の便が良い。大和ハウスは土地の取得後に物流施設や工場などを建設し、分譲したり貸し出したりする方向だ。同社は物流施設や商業施設の開発を新たな成長の柱と位置づけている。

  シャープは15年3月期に2200億円超の最終赤字を計上したのを受け、5月に中期経営計画を策定。大阪市阿倍野区の本社売却などを盛り込んだが、堺工場 の遊休地売却は入っていなかった。業績回復に道筋がたたず、資金繰り悪化の懸念が取引先などにも広がる現状に対応するため、遊休資産の売却を急ぐ。16年 3月期中に正式に売却する方向で交渉を進める。