中国の液晶パネル最大手、京東方科技集団(BOE)が市況悪化をいとわない設備増強に踏み出す。2日には内陸部の安徽省合肥で最先端パネル工場を着工。今後3年で2兆円の投資を断行する。大量生産でコストを下げ、シャープや韓国LGディスプレーなど日韓台のライバルを揺さぶる。目指すのは世界トップの座だ。
「世界最大のパネルを製造する最先端の製造拠点を目指す」。安徽省合肥で2日開いた「第10.5世代」工場の着工式。サムスン電子や海爾集団、船井電機など各国から駆けつけた取引先幹部を前に、陳炎順総裁は力を込めた。地元政府や中国国家発展改革委員会、工業情報化省など中央官庁の幹部陣も姿を見せ、「国家プロジェクト」の様相を呈した。


■65インチ以上量産

 合肥は三国志の古戦場で有名な内陸都市。BOEは東京ドーム17個分の敷地に400億元(約7700億 円)を投じ大型ガラス基板(2.94メートル×3.37メートル)の加工工場を建てる。シャープの「第10世代」を上回る最先端の工場が担うのは、中国で 需要が急拡大する65インチ以上の大型テレビ・モニター向けの量産体制だ。月産能力は9万枚で稼働は2018年。スマートフォン(スマホ)やタブレット向 けが強かったBOEにとって、「本丸」への本格挑戦となる。

 BOEの母体は北京市にあった国有の電子管工場で、1993年に組織を再編 して前身の北京東方電子集団(Beijing Oriental Electronics)ができた。現在はこの頭文字をつないだBOEが英語の社名になっている。2000年代に入って液晶パネルの生産を本格化。テレビ 向けパネルで世界5位、スマホなど中小型パネルで世界7位に位置する。合肥を含め、17~18年の稼働を目指して一気に3つの工場を立ち上げ、シェア拡大 を狙う。

 足元の市況は悪化の一途をたどっている。米調査会社IHSテクノロジーによると、過去3年間で55インチパネルは約4割、5イ ンチの高精細パネルは7割も値下がりした。景気減速によるテレビやスマホの販売鈍化だけでなく、BOEなど中国勢の増産投資が価格の下落ペースを速めてい る。
BOEの王東升会長は目先の市況低迷を意に介していないようにみえる。「同じ製品を作っていれば、液晶パネルの価格は36カ月で半減する」。社内で「王氏定律(王氏の法則)」と呼ぶ王会長の経験則に照らせば、価格下落は当然。次の飛躍に向けた投資はためらわない構えだ。

■政府の後ろ盾

  BOEの強気姿勢には強力な後ろ盾がある。北京市政府傘下の国有資産管理組織が筆頭株主の「準国有企業」で、資金調達に不安はない。合肥の新工場も、地元 政府が資金面で支援。南部の福建省福州や内陸部の四川省成都に予定する新工場も地元政府が強力にバックアップしている。

 もっとも規模を追うばかりでは息は続かない。15年1~9月期の売上高が前年同期比44%増の364億2千万元(約7千億円)と大きく伸びたが、純利益は7%増の約20億元にとどまった。

  「技術革新によって新たな市場を作り出す」という王会長の方針を支えるのは、高額報酬で引き抜いた日本や韓国、台湾の液晶先進国で腕を磨いた技術者らだ。 売上高に占める研究開発費の割合は7~8%。身につける情報端末であるウエアラブル機器や自動車向けなど新分野の開拓にも注力。次世代パネルと期待される 有機ELの量産技術の確立も急ぐ。能力増強と技術革新の二兎(にと)を追い、世界トップへの挑戦が続く。



BOE 10.5G fab set to produce large-size, high-resolution panels in 2018

China-based panel maker BOE is set to begin construction on a 10.5G fab in February 2016 and finish in 2018. The fab will focus mainly on production of 65-inch and above-size TV panels with resolutions ranging from 4K, 8K and eventually 10K.

The fab will cut 3,370 by 2,940 substrates for TV panels starting from 65-inch followed by increments of 5-inch to as large as 100-inch. In addition to TV panels, the panel maker is also eyeing opportunities in the traffic, arts and medical segments where larger-size, high-resolution displays are needed.

BOE has already begun 8K panel production with the aim of getting ahead of the market competition and expected demand around 2018-2020. About 2,700 8K TVs will ship in 2015 and by 2019 that number will increase to around 910,000, according to figures from IHS.

The panel maker also believes that larger-size TVs are the wave of the future. Currently, most market estimates show that 50-inch and above size TV sales are increasing in the overall proportion of global TV sales, which is expected to strengthen over the next five years.

The global TV market however is cooling down and is expected to see limited shipments in 2016, but the overall TVs and TV panel sizes shipped will increase, which should help most TV vendors and TV panel makers maintain steady profits throughout the year, according to most analysts.