日本触媒img_04日本触媒は液晶パネルのフィルムの原料となる樹脂の生産を年1万2千トンに倍増させる。まず姫路製造所(兵庫県姫路市)で2016年5月に新工場を稼働し、さらに18年までに約30億円を投じて新設備を導入する。同社の製品を使うとパネルを薄く大型にできるため引き合いが増えている。紙おむつ向け吸水性樹脂(SAP)に次ぐ柱として、電子部材など高機能素材の育成を急ぐ。
 増産するのはアクリル樹脂「アクリビュア」。テレビやスマートフォンの液晶パネルの偏光板に同樹脂のフィルムを複数枚重ねて使う。年産能力は現在6千トン。姫路の新工場が稼働すると9千トンとなるが、「顧客に増産を待ってもらっており、すぐフル生産になる」(池田全徳社長)ため、3千トン分の生産設備を追加することにした。



 アクリビュアは現在主流のセルロース系樹脂に比べて液晶パネルを薄くできるほか、空気中の水分を吸いにくいためテレビ用など大型のパネルでも反りにくい。今後、セルロース系樹脂からの切り替え需要を取り込み、数十億円程度の売上高を早期に100億円以上に引き上げる。

 日本触媒はSAPで世界シェア3割程度を占める最大手。SAPやその原料のアクリル酸など紙おむつ関連が全社の利益の8割以上を占める。16年3月期の連結純利益は前期比31%増の250億円と最高益の見通しだが、中国や韓国のメーカーとの競争は激しい。