紅色供給網(レッドサプライチェーン)の台頭が、ノートパソコン受託生産の分野でも台湾勢に脅威をもたらす可能性が生じている。
華碩電脳(ASUS)は第4四半期、中国の比亜迪(BYD)に来年のノートPC正規モデルを発注。ASUSが中国メーカーにノートPCを発注したのは初めてだ。
宏碁(エイサー)は第3四半期に新興市場で落札した政府調達案件で、中国・清華同方傘下の志合訊息(ユニウイル・テクノロジー)の開発機種を採用した。中国勢の急伸により、台湾受託メーカーの世界シェアは来年、過去最低の81%に下落すると予測されている。22日付蘋果日報が報じた。



中国勢の台頭をめぐっては、ASUSや宏達国際電子(HTC)がスマートフォンの生産を、エイサーがタブレット端末の生産を台湾受託メーカーから中国メー カーに切り替える動きが伝えられていた。台湾受託メーカーはx86ノートPCの受託生産で世界シェア首位を誇るが、部品供給でレッドサプライチェーンの侵 食を受けており、ノートPC組み立て受注も徐々に中国へ流出している。

 BYDはASUSへのノートPC出荷を第4四半期に開始。単発のプロジェクト案件でなく、正規モデルのため業界から驚きをもって受け止められた。毎月の出荷量は30万台以上と予想されている。

 一方、エイサーが今年ユニウイルに生産委託するノートPCは発注量が10万台未満と少ないものの、台湾を代表するノートPCブランド2社が中国に生産を委託したことが中国勢の台頭を印象付けている。

 市場調査会社IDCによると、中国勢の台頭により、ノートPCを手掛ける台湾ODM(相手先ブランドによる設計・製造)メーカーの世界シェアは、2014年の84.3%から、今年は82.4%、来年は81%にまで低下する予測だ。

中国のノートPC受託メーカーは規模の大きい順に、▽仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)と聯想集団(レノボ)の合弁会社、聯宝(合肥)電子科技(LCFC)▽BYD▽ユニウイル▽宝龍達集団(BLDグループ)▽深?市三諾電子──。

なお、ユニウイルは浩?(シャトル)、BLDグループは精英電脳(ECS)、三諾電子はエイサーとそれぞれ台湾のPC製造メーカーの人材を引き入れている。ノートPC受注が目的で、特に台湾人幹部の人脈を生かしてASUS、エイサーからの受注を得ることが狙いだ。