東京大学大学院理学系研究科の松尾豊特任教授らの研究グループは、有機薄膜太陽電池向けにレアメタル(希少金属)のインジウムを使わない透明電極を開発した。ニオブを添加した酸化チタンを利用。表面を酸化処理することで従来必要だった製作工程を一部省略できる。有機系太陽電池の実用化などにつながる。

有機薄膜太陽電池は光を発電層に通す透明電極が必要で、一般に酸化インジウムスズを使う。インジウムは供給逼迫(ひっぱく)の懸念があり、代替材料が求められていた。



また、太陽電池として機能させるためには、発電層が生成する電子と正孔のうち、透明電極側は電子だけを捕集する必要がある。ただ、酸化インジウム スズなどの透明電極は両方を捕集するため、透明電極と発電層の間に酸化亜鉛などで作る電子のみを流す層(電子輸送層)が必要だった。

ニオ ブを添加した酸化チタンは、透明電極の代替材料として有力視されていた。松尾特任教授らは、酸化チタンが電子だけを捕集する特性を持つことに着目した。酸 化処理により表面だけは酸化チタンの特性に戻すことで電子だけを選んで捕集する透明電極を構築。電子輸送層を不要にした。

これを使った有機太陽電池の変換効率は最大2・75%。酸化インジウムスズと酸化亜鉛を使った太陽電池の変換効率2・91%に匹敵する値となった。