auo lab 2016液晶パネル大手、友達光電(AUO)の彭双浪(ポール・ポン)董事長は28日、今年はパネル需要が面積ベースで前年比4~6%増える一方、供給は5~7%増えるとして、今後は供給過剰が常態化するとの見通しを示した。「需要を大幅に高める新たな応用先が見つかっていない上、通貨安で新興市場の需要が鈍化している中、中国パネルメーカーの大規模な生産拡大が続く」と説明。今年は大幅な景気拡大は期待できず、同社は製品差別化をさらに進めることで活路を見いだすと強調した。29日付蘋果日報などが報じた。
AUOが同日発表した昨年第4四半期の連結売上高は834億4,000万台湾元(約3,000億円)で、前期比6.6%減、前年同期比20.8%減だった。純損失は82億4,000万元と11四半期ぶりに赤字に転落した。子会社エム・セテックの、多結晶シリコン(ポリシリコン)生産からの撤退に伴う67億5,000万元の減損計上が響いた。同期の大型パネル(10インチ以上)出荷量は前期比4.8%増の2,761万枚、中小型パネルは31.4%減の3,341万枚だった。



 昨年通年の連結売上高は3,603億5,000万元と前年比11.7%減少したが、純利益は48億4,000万元と3年連続で黒字となった。通年の大型パネル出荷量は前年比9.6%減の1億565万枚、中小型パネルは1.2%増の1億7,281万枚だった。
彭 董事長は、昨年は下半期に景気が下向き、第4四半期が最も厳しかったと説明した。景気低迷は今年第1四半期も続き、大型パネル出荷量は前期比10~15% 減、中小型パネルは横ばいか微減となると予想。設備稼働率は受注状況や年次保守の関係で前期の85~90%から低下すると話した。ただし、第1四半期が今 年の谷底となり、顧客の新製品発売や今年8月に開催されるブラジル・リオデジャネイロ五輪向け需要が追い風となって、第2四半期以降は四半期ごとに景気が 良くなるとの予測を示した。
 AUOの蔡国新総経理は、中国のテレビ用パネル在庫は現在7~9週と、春節(旧正月)需要の関係で正常な水準を1週上回っており、欧州でも1週高め、その他地域は正常と説明。モニター用は3~4週と正常だが、ノートパソコン用は5~6週と高めで注意が必要と話した。
 彭董事長は今後の方針として、まず健全な財務体質を維持すると表明した。同社の負債総額は昨年末時点で1,100億元以下と、2009年以降で最低水準まで改善している。
  また、技術面で参入障壁を高め、汎用パネル以外の製品割合を昨年の30%以下から今年は40%以上に高めることで価格競争を回避する方針だ。彭董事長は、 同社は自動化機器用パネルの多くでシェアが50%を超えていると指摘。今年はこのほかベゼルレス(縁なし)テレビ用、商業用、車載用、ノートPC用 LTPS(低温ポリシリコン)パネルの出荷割合を増やして利益拡大を図る。
 AUOの今年の設備投資は前年比34.7%増の450億元を計画している。中部科学工業園区(中科)后里園区の第8.5世代工場が第1四半期、中国・江蘇省昆山市の第6世代LTPSパネル工場が下半期に量産に入る予定で、主に両工場への投資に充てる。