経営再建中のシャープは、全世界の連結社員数が昨年12月末で4万4164人となり、9月末から4692人減少したことを明らかにした。9月末に国内で実施した希望退職など人員削減を進めた結果だが、自主的な退職も相次いでおり、再建に必要な人材流出の懸念は高まっている。

 国内だけでみると、12月末現在の社員数は2万397人で、9月末より3315人減った。このうち希望退職制度の利用は3千人程度で、同制度の要件に当てはまらない若手ら数百人が自主退職した。



 昨年12月には、元代表取締役専務の中山藤一氏がコンデンサー大手のニチコンの副本部長に就任。幹部級の人材流出も相次いでいる。

 元シャープ社員を積極的に採用してきた生活用品大手のアイリスオーヤマの広報担当者は「採用したい優秀な社員の多くはすでにシャープから転出してしまっている」と明かす。

 当のシャープは、官民ファンドの産業革新機構の支援を受けて再建する方向が有力視されている。ただ、今後も人材流出が進めば、再建に支障が出る恐れもある。

  昨年12月に退職した40代の男性社員は「再建に向けて熱心にやっていた。『この頑張りが次につながる』と思えばこそだが、この何年間か変わらない。気持 ちが続くか不安になった」と明かす。別の40代男性社員は「トップがもっとしっかりビジョンを示してほしかった。体制が変わってからの2年間はいったい何 だったのか」と話した。