2016年1月23日、京セラディスプレイはSTN液晶パネル(STN-LCD)を生産する広島工場を2017年3月に閉鎖すると発表した。
同社の広島工場は、旭硝子と三菱電機の共同出資で発足したオプトレックスの生産拠点として1980年に設立され、主に車載、産業機器、携帯電話向けにSTN-LCDの生産を行っていた。その後、日本産業パートナーズによる株式取得、カーブアウトを経て、2012年に京セラディスプレイ株式会社に体制変更を行い現在に至っている。



STN-LCDは今日でも車載用途や産業機器向けに一定規模の需要があるが、2000年代後半に携帯電話向けSTN-LCDがTFT液晶パネル (TFT-LCD)にリプレースされたことで需要規模が大幅に縮小し、コストダウンが進まなくなった。その後、車載、産業機器分野でもTFT-LCDの低 廉化が進み、STN-LCDはさらなるコストダウンを強いられ利益を上げることが難しくなっていた。
同社はSTN-LCDの生産から撤退する一方で、滋賀工場で生産するTFT-LCDへのリプレースを促し、事業規模の拡大を図る方針である。
京セラディスプレイの撤退によりSTN-LCDの生産はTruly Semiconductors Ltd、Varitronix Ltd、スタンレー電気など限られたメーカーに集約されることから、今後のSTN-LCDの調達はさらに難しくなると見込まれる。