赤(R)、青(B)、緑(G)の各色に発光する3種類の有機分子を用意することなく、同じ有機材料によってRGBの3色の発光を実現する。
このような有機EL技術を、九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)准教授の中野谷一氏、同センター長の安達千波矢氏らの研究グループが開発した。


これまでの有機EL素子でRGBの3色の発光を実現するには、それぞれの色に発光する有機分子を用いる必要があった。有機ELでは、有機分子の励起子が基底状態へと遷移する際に放出するエネルギーを発光として取り出す。この励起子のエネルギーが0.5eV程度と大きく、同一分子での励起子エネルギーを自由自在に制御することが極めて難しかったため、各色に発光する有機分子を使用しなければならなかった。
今回の研究成果は、有機半導体性分子の励起状態を分子骨格に基づく内的要因だけでなく、分子間距離の制御という外的因子によっても自在に制御できることを、初めて実証したものといえる。励起状態を外部因子により自在に制御できれば、従来の電荷によるスイッチングではなく、励起子によるスイッチング素子など、これまでの有機半導体デバイスの概念を脱却する新奇な学術領域を創成できると考えられるという。
Move to original article