競合するシャープとの統合話が立ち消えになり、単独での生き残りを余儀なくされたジャパンディスプレイ(JDI)。シャープが台湾EMS(電子機器受託製造)大手、鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で巻き返しを図るとみられる中、先手を打った。
JDIは、国内の中小型液晶パネル生産ラインの一部廃止、中国の工場再編、早期退職の募集に乗り出す。これによって、2016年3月期に約140億円の特別損失を計上する一方、今後は年170億円程度の固定費削減効果(17年3月期は80億円)を見込む。
廃止が明かされた製造ラインは、千葉県茂原工場の第4・5世代ラインと、愛知県東浦工場の第3・5世代ラインのそれぞれ1ラインだ。


同時に発表した早期退職の募集は45歳以上が対象となり、規模は発表されていないものの、「全社で400人くらいを見込む。廃止ラインの人員の早期退職はその半分くらい」(JDI)という。工場のある自治体への影響も大きい。「発表翌日に茂原工場の担当者が説明に来た。JDIの決定に従うしかないが、工場人員が他工場に配置転換となれば、市としては痛手」と人口減を懸念する声が多い。
新規ビジネス拡大へ、今年4月に組織再編を実施して専門部署を立ち上げ、スマートウォッチや医療向け、デジタルサイネージなど販路の多様化を急ぐ。今回の構造改革には、全社固定費を削減し、新規ビジネスや新技術への投資余力を捻出する狙いもあろう。
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