AS20160530004722_commLパナソニックがテレビ用液晶パネルの生産から撤退する方針を固めたことが30日、わかった。赤字が続いているためで、9月末をメドに姫路工場(兵庫県姫路市)での生産をやめる。同社が撤退すると、国内でテレビ用液晶パネルをつくるのはシャープ系のみとなる。

 パナソニックは撤退の方針を既に取引先に伝えた模様だ。姫路工場で働く約1千人の従業員のうち、数百人は国内のほかの工場に配置転換する方向で検討している。

 姫路工場は2010年4月に稼働を始めたが、赤字続きで、12年3月期には765億円の営業赤字を計上した。コスト削減を図ったり、海外のテレビメーカーに液晶パネルを売ったりしたが、黒字転換までには至っていない。



 パナソニックは既に、国内で販売する自社の液晶テレビの多くで、海外の他社の液晶パネルを使う方針に切り替えている。今後は、鮮明な画像が要求される医師の手術用モニターや自動車向けを中心に製造する。

  日本の電機大手は世界のテレビ販売で韓国・中国勢に押され、事業を縮小している。液晶パネルの生産もソニーが既に韓国サムスン電子との合弁会社を解消する など、撤退が続く。国内では現在、シャープが亀山工場(三重県亀山市)のほか、堺市の鴻海精密工業との合弁会社でテレビ用の液晶パネルをつくっている。

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