jpパナソニックがテレビ用液晶パネルの生産から完全撤退する。中韓メーカーの低価格攻勢に押され、赤字続きのためだ。国内唯一の拠点である姫路工場の生産を9月末をメドに終了する。

 これで国内でテレビ用液晶パネルを生産するのはシャープ系の工場だけに。

 もっともシャープは台湾の鴻海傘下だから、「日本のメーカーは事実上ゼロになる。メード・イン・ジャパンの凋落を象徴しています」と同社幹部は肩を落とす。

 そもそも姫路工場は、2350億円もの巨費を投じ、2010年に稼働した最新鋭工場だ。



生産能力は32型液晶パネル換算で月間81万台。医療用や自動車向けなど、テレビ用以外の液晶パネルの生産はこの先も続けるというが、別のある中堅社員は「もっと早く決断すべきだった」とこう続ける。

「テ レビ用液晶パネルは中国の独り勝ちになりつつあります。姫路工場は12年3月期に約765億円の営業赤字と振るわなかったのに、鳴り物入りで造った工場 だったこともあって決断が遅れた感は否めない。メーカーの矜持というか上層部のメンツで撤退に踏み切れなかったという社員の声は少なからずあります。むし ろスッキリした」

 パナソニックは3月末、18年度に連結売上高10兆円を達成するとしていた目標を撤回。より利益重視の方針を打ち出しており、テレビ用液晶パネル撤退はその流れのひとつだが、現場の従業員は戦々恐々だ。

「撤 退に伴い、姫路工場にいる1000人の従業員のうち、約100人が他の工場などに異動させられる。人員削減はしないと言いますが、収益の上がらない事業の 見直しはどんどん進められていく。この先リストラされない保証なんてどこにもない。ホワイトカラーだから『スッキリした』なんて言えるんです」(姫路工場 関係者)

 本社と工場の温度差がメード・イン・ジャパンの凋落を感じさせる。