スマートフォン(スマホ)向け液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)が21日、定時株主総会後に開示した2016年3月期の有価証券報告書で、売上高に占める米アップル向けの比率が53.7%になったことがわかった。
13年3月期の20.9%から、31.0%、41.8%と毎年10ポイント以上伸び、ついに5割を超えた。アップルのスマホ「iPhone」頼みの売上構成が一層顕著になった格好だ。

 「スマホ依存からの脱却」――。初代社長で15年6月に退任した大塚周一前社長、その後を継いだ本間充会長兼最高経営責任者(CEO)の経営トップが何度も口にしてきた目標とは裏腹に“アップル依存度”は高まり続けている。



 iPhoneが世界中で売れ続け、JDIからディスプレーを調達し続けてくれれば問題はない。しかし昨年末に風向きが急変。iPhoneの販売台数が減少に転じた。アップルは早ければ17年モデルから有機ELパネルを採用する考えで、ディスプレーメーカー各社に通達している。現時点でスマホ向けの事業が液晶パネルに集中しているJDIには逆風で、成長性が疑問視されて株価は低空飛行が続く。

 21日の終値は182円と、1年前の株主総会の日の終値(505円)から大幅に下落。2年前の上場時の公募価格900円と比べて5分の1の水準で低迷している。

 21日に都内で開いた株主総会では、出席者から無配や2期連続の最終赤字の責任を問う厳しい声が相次いだ。上場時に900円で同社株を購入したという男性株主(80)は「持ち続けたくはないが、売るに売れない株価水準」と諦め顔で話す。別の男性株主(72)は「スマホなど成熟市場で戦うのではなく、新分野開拓を急いでほしい」と注文を付けた。

 株主総会の質疑応答では、株主の1人が「せめて公開価格の半分、450円に戻してほしい」と語った。株価を反転させるには、安定収益につながる車載ディスプレーなど新規事業の柱を早急に育てて市場に示す必要がある。