ソニーの化学部門から独立したデクセリアルズが“脱エレクトロニクス”の総仕上げに入った。4月に始動した初の中期経営計画では、反射防止フィルムを核に自動車分野を開拓する成長戦略を示す。栃木事業所(栃木県下野市)に約30億円を投じ、生産能力も倍増する。独立から上場、中計策定と着実に駒を進めてきた一ノ瀬隆社長に、思い描く企業像を聞いた。

―2018年度までに反射防止フィルムを異方性導電膜(ACF)や光学弾性樹脂(SVR)に次ぐ柱に育てる方針です。

「スマートフォンやタブレット向けが中心のACFやSVRは、中国の景気後退による需要縮小に引きずられた。大打撃というほどではないが、持続的な成長は難しい。これに対し、ノートパソコンに使われる反射防止フィルムはここ数年、順調に実績を伸ばしてきた。大口ユーザーから15年比で16年、17年にかけて採用を増やしたい意向も聞いている」



―車載用でも、まずは土地勘があるディスプレー用途への採用が見えてきました。

「自動車全体で見れば小さな市場だが、トレンドと して『セントラル・インフォメーション・ディスプレー』は間違いなく伸びる。そのために完成車だけでなく1次、2次取引先ともパイプを作り、今年から試作 にもこぎ着けた。製造品質ではなく、実際の使用環境に即した製品を仕上げる体制が整っている。18―20年をめどにグッと立ち上がるはずだ」

―反射防止フィルムの増強に約30億円を振り向ける計画です。従来と比べると大きな投資になりますね。

「ノー トパソコンと車載用を合わせ、18年度の事業売上高を15年度比2倍の100億円規模にする。そのための増強だ。今は鹿沼事業所第1工場(栃木県鹿沼市) が主力だが、栃木事業所で9月にも新設備を稼働させたい。鹿沼第1に比べ、生産性や安定性を向上できる。需要規模次第では、鹿沼第1の設備更新や新設備へ の乗り換えも必要になる」

―3カ年累計で、200億円規模のM&A(合併・買収)枠も設けました。

「グローバルな機能性 材料メーカーとして打って出るために、技術的に足りないリソースは積極的に取得していく。車載分野でも、ユーザーの要求に応えるために必要な技術・部材な ら検討する。しかし、反射防止フィルムは逆。ここには当社のノウハウが詰まっている。まだ外部資源を活用する段階ではなく、技術獲得のための投資は考えて いない」

【記者の目/脱・ソニーの一手に期待】

売上高に対し約7%を研究開発に充てる従来方針は踏襲。製品化後3年以内 に改良版を投入する割合を、15年度比10ポイント増の60%にする目標も掲げた。主力のACFは、競合の日立化成と合わせて世界シェアの9割を握る。 16年度は液晶ディスプレーの需要減などで関連材料の伸び悩みを見込む中、脱・ソニーを象徴する一手に期待がかかる。