パナソニックは収益が低下しているパソコン事業の立て直しに乗り出す。2015年度に主力の北米市場で頑丈型パソコンの営業戦略に失敗し、同市場の販売実績は前年度比30%減と大きく落ち込んだ。そのため16年度は北米で販売戦略を見直すほか、国内では軽量化した頑丈型を投入して市場開拓を本格化させる計画だ。

パナソニックのパソコン事業は業務用に照準を合わせ、頑丈型や業務用ノート型に特化している。保守・メンテナンスサービスと組み合わせる戦略で、世界の頑丈型市場と国内の13インチ以下ノート型市場で、それぞれ6割以上のトップシェアを握るなど実績を上げてきた。



さらなる成長を見据え、15年度には北米市場でカメラやディスプレー、プロジェクターなどと組み合わせたソリューション提案に転換したが、それが 裏目に出て主力の頑丈型製品自体の販売が落ち込んだ。同事業の営業利益は辛くも黒字を維持したが、パソコンや決済端末などで構成する「モビリティ事業」は 社内の利益率目標に満たない収益改善事業と名指しされ、立て直しが求められている。

【北米販売再構築】

そのため北米では7月から頑丈型の専任販売部隊を復活させ、単品販売とソリューション提案の両面から営業できる体制を再構築した。ノート型に代わって需要が増えるタブレット型にも注力し、早期の立て直しを図る。

た だ北米を中心とする海外の頑丈型市場は同社が6割のシェアを握っており、伸びしろは少ない。そこで期待を寄せるのが業務用のニーズが高い国内市場。国内は 業務用ノートで高シェアを持つが、ノート型より重たい頑丈型は日本人に使い勝手が悪く、市場を十分に開拓できていないのが実情だ。

この状 況を打開するため、業務用需要が伸びているタブレット型パソコンを8月下旬に投入する。画面サイズは10・1型と比較的大型ながら重量を1キログラム以下 に抑え、頑丈型では軽量製品となる。坂元寛明ITプロダクツ事業部長も「ついに頑丈型パソコンは1キログラム以下になり、日本人向けでも戦える時期が来 た」と意気込む。

また市場の6割程度を占める米グーグル製基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載。同社の頑丈タブレットは米マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」を搭載した機種が中心だったが、アンドロイド機のラインアップも強化する。

【年率20%成長】

16 年度中にも物流、外食などの既存顧客層に加え、自動車・航空機の整備、メンテナンスといった新しい顧客層を開拓。頑丈型の国内販売目標を14年度比3万台 増の7万台に伸ばす。その後も年率20%の成長を目指し、3―4年以内に頑丈型の国内販売比率を現在の1割から3割程度まで増やす計画だ。