スマートフォン(スマホ)向け液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)はパソコン向けの中型液晶パネルの量産を年内に始める。スマホで磨いた軽量で高画質、省電力のパネル技術を武器に中型市場を開拓する。同社は受注変動の激しいスマホ向けパネルが売上高の8割超を占めており、販売先を多様化することで収益基盤の安定性を高める。

 米国や台湾のパソコン世界大手に試作品を持ち込み、受注活動を始めた。受注動向に応じて年内にも東浦工場(愛知県東浦町)や茂原工場(千葉県茂原市)で、12~15インチの中型液晶パネルの量産を計画する。



 JDIが強みを持つ省電力技術「LTPS(低温ポリシリコン)」を活用し、液晶パネルの消費電力を2~3割削減できる。解像度も4K動画を視聴 することを想定し、300ppi(1インチあたりの画素数)程度に高められる。LTPSを活用することでパソコン画面周辺の額縁部分も2~3ミリ程度と細 く設計でき、デザインの自由度を高められる。

 JDIが狙うのは、持ち運びに便利な軽量パソコンや、キーボードと分離するとタブレット端 末としても使える「2イン1」タイプの高級機種の市場。現在の100倍の高速通信が可能な次世代無線規格「5G」が普及すれば、高画質動画をパソコン画面 で視聴するための高性能パネルが必要と判断し、同市場への参入を決めた。