インドメディアの報道によると、昨年インドでの携帯電話生産が最大となった鴻海精密工業に対し、地場の携帯電話メーカー、カーボン・モバイルズが4年以内に追い抜くと宣戦布告した。市場調査会社、IDCの統計によると、インドでは第1四半期の携帯電話販売台数の6割が現地生産。緯創資通(ウィストロン)など台湾の受託生産メーカー大手も続々とインド生産に乗り出しており、競争激化が予想される。
ただ、部品は依然供給不足で、インドが世界のスマホ工場になるのはまだ先となりそうだ。25日付経済日報などが報じた。
インドメディアの報道によると、鴻海は8月第1週に、インド2カ所目となるナビムンバイ(新ボンベイ)工場で、携帯電話の組み立てを開始する計画だ。
インドの主要顧客は▽アップル▽華碩電脳(ASUS)▽北京小米科技(小米、シャオミ)▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)▽一加 科技(ワンプラス)▽深?市金立通信設備(Gionee)▽広東欧珀移動通信(OPPO、オッポ)▽インフォーカス──など。今後5年で50億米ドルを投資する計画だ。



カーボン、部品生産も視野

 一方、カーボンは今月22日、ハリヤーナー州で3カ所目の工場を稼働した。同社の発表によると、新工 場は生産ライン22本で、モバイル端末の年産能力3,000万台。就業機会4,000件以上を創出する。同社は、自社工場を保有しており、設計、製造、販 売、マーケティング、アフターサービスまで現地で一貫サービスを提供すると強調。これにより、顧客の携帯電話ブランドは適正な価格でインドの消費者に製品 を提供できるとアピールした。現地報道によると、新工場は年内に自社ブランドやパナソニックなどの携帯電話250万台を生産する計画だ。その他ブランドを 扱う可能性もある。同社の来年の投資計画は200億ルピー(約320億円)。

 カーボンは、アーンドラ・プラデーシュ州ティルパティに4 カ所目となる新工場を検討しており、携帯電話組み立てのほか、プリント基板(PCB)の表面実装技術(SMT)生産ラインを併設し、バッテリー、コネクタ なども生産する考えを示した。さらに、4年後に鴻海を追い抜き、インド最大の携帯電話メーカーとなるほか、部品の現地調達率を70%まで高めることを目標 に掲げた。

ウィストロン、新工場計画も

 インドのナレンドラ・モディ首相が掲げる「メーク・イン・インディア(インドでモノづくりを)」に呼応し、インドの携帯電話メーカーの年産能力は6,000万台に上る。ただ、部品供給は中国からの輸入に頼っている状況だ。

  ウィストロンは、携帯電話販売のオプティマス・インフラコムと合弁でインド工場を設立した。黄柏?総経理は、7月に量産を開始しており、宏達国際電子 (HTC)や中国、インドの地場ブランドが顧客で、当面の年産能力は400万台と説明。インド政府の関税政策によっては、17年にSMT生産ライン設置を 検討すると語った。また、今後3~5年以内に2億米ドルを投じ、年産能力1,800万台の工場を設立する計画だ。出資比率はウィストロン20%、オプティ マス80%。

 業界関係者によると、スマホの輸入関税は6%から12.5%に引き上げられたが、インドで現地生産すれば、貨物税(物品税)1%しかかからない。インド政府は今年2月にスマホ用バッテリーの輸入関税を引き上げており、今後、部品の現地生産が進むと予測した。

 仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は3月にインド工場で量産を開始した。既存顧客のマイクロマックスのほか、中国の楽視移動智能信息技術(北京)や聯想集団(レノボ)など向けに6月から10万台余りの少量出荷を行っているようだ。

 和碩聯合科技(ペガトロン)は年末に中部の沿海地区に総合工場を設置する計画だ。英業達(インベンテック)は昨年第3四半期にパソコンから量産を開始した。金宝電子工業(キンポ・エレクトロニクス)はインド駐在員を求人しており、遅くとも18年までに投資を決定する。