台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業による買収手続きが12日に完了したシャープは、今後、日本の大手家電メーカーで初めて外資傘下で再建を目指す。海外に幅広い販売網を持つ鴻海と、技術力を誇るシャープとの提携は、思惑通りの相乗効果を上げられるだろうか。液晶事業を取り巻く環境は厳しく、再建への道筋にはなお課題が山積している。

 鴻海の郭(かく)台銘(たいめい)会長は、シャープの最先端の液晶技術「IGZO(イグゾー)」などについて「研究開発はいいが、売れない」と評する。その弱点を鴻海が補い、海外に活路を見い出したい考えだ。シャープの経営陣に留まる野村勝明副社長も、「鴻海のスピード経営で、動きが速い市場に機敏に対応したい」と提携の効果に期待する。

 ただ、売上高の約3割を占める液晶事業の不振は深刻だ。



シャープは、大口の出荷先として依存度が高い米アップルの減速の影響で、中小型液晶の販売が急減。鴻海と共同運営する堺工場も、シャープが28年4~6月期決算で115億円の投資損失を計上した。

 一方、鴻海傘下の液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)も中国勢との価格競争に悩み、経営は苦戦を強いられている。

 鴻海は中国に数多くの工場を保有。郭氏は中国政府や行政首脳との太いパイプを生かし、これまでビジネスを有利に進めてきた。

 にもかかわらず、今回の買収は中国当局による審査が長引いた。ある鴻海幹部は「中国で成長している液晶の新興メーカーの主張も聞かざるを得なかったのだろう」と推測する。

鴻海とシャープの具体的な協業やすみ分けはまだ明らかでなく、液晶事業の環境がさらに悪化すれば“共倒れ”となる恐れもある。

  また、スマートフォン用に需要の拡大が期待される有機ELパネルは、韓国のサムスン電子とLG電子が市場を寡占。シャープは鴻海からの出資を受け、2千億 円を投じて研究開発を急ぐ計画だ。郭氏は「3、4年で追いつく」と自信をみせるが、量産開始は平成31年となる見通しで、挽回は容易ではない。