テレビ向け液晶パネル価格が一段と上昇している。採算改善に向けたパネルメーカーの生産調整が進み在庫が不足、テレビメーカーが値上げ要請を受けざるを得なくなった。特に不足感が強い42型以下は5月から値上がりが続く。テレビの需要は振るわず、製品価格への転嫁が困難なテレビメーカーは悲鳴を上げる。

 最も流通量が多い32型のオープンセル(バックライトなどがつかない半製品)は7月の大口価格が1枚58~62ドル程度。6月と比べて1割高い。大口価格は5月に前月比で4%上がり、1年4カ月ぶりに前月を上回った。6月は2%高で、7月は上昇幅が拡大した。

 他のサイズの大口価格も、42型は103~110ドル、40型は89~93ドルと、それぞれ6月に比べて1~5%高い。



 後発組の中国パネルメーカーはシェアを広げるために生産体制を拡充してきた。既存メーカーも安値販売で追随したが、業績の悪化が顕著になった。最大手の韓国LGディスプレーや、同サムスン電子は採算改善に向け、4~6月に生産を絞ったようだ。

 パナソニックは9月末をめどにテレビ用液晶パネルから撤退する。2月に台湾で起きた地震の影響で群創光電(イノラックス)の出荷も縮小した。市場関係者によると、4~6月期の市場全体のパネル流通量は前年同期に比べ1~2割減った。

 テレビメーカーはパネル価格上昇分の製品転嫁に慎重だ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、6月の薄型テレビ出荷台数は前年同月比2割減った。販売が振るわないなか「厳しいがコスト増は社内で吸収する」(国内メーカー)。

 調査会社のBCN(東京・千代田)によると、32型テレビの売れ筋上位の平均価格は7月が約3万8千円。前年同月に比べ4千円下落した。

  パネルメーカー各社は付加価値の高い製品に注力し始めている。サムスン電子は40型のラインを来春にもスマートフォン向け有機ELパネル用に転換する。中 国勢も解像度がフルハイビジョンの4倍となる4Kに対応した、50型前後の大型品拡充に向けた投資を加速する。「競争の舞台が42型以下から、より大型で 高付加価値品へと変わり始めている」。(大手アナリスト)