パナソニックはソニーなどと共同でフルハイビジョンの16倍の解像度を持つ次世代放送規格、8Kに対応したテレビの技術を開発する。膨大な画像データを高速処理する技術を協力して手掛け、2020年をメドにそれぞれ製品にして発売する。日本の電機メーカーは中韓勢の伸長でテレビのシェアを落とした。放送技術を手掛けるNHKなども加わり、最先端の技術水準を確保して日本連合で生き残りを目指す。
00年以降に普及した薄型テレビ市場で日本メーカーは先行したが、00年代半ばから韓国、中国勢にシェアを奪われた。15年の売上高上位10社のうち日本に本拠を置くのはソニーとシャープにとどまり、韓国勢が2社、中国勢が4社を占める。パナソニックとソニーは今後も高付加価値製品に注力する。次世代の8Kで先行するためNHKを含めた協力体制を整える。




  8Kは現在最も高画質とされる4Kテレビと比べて解像度が4倍ある。大画面になるほど目立ちやすい画質の粗さを抑え、臨場感のある映像を表示できる。日本では世界に先駆けて18年にも8Kの本放送が始まる見込み。ただデータ処理など技術が高度で開発の難易度が高い。日本連合は電機や電子部品など国内のほかの企業に参加を呼びかけコストを分担する。

 NHKは放送品質の確保や関連する規格の策定を進めるとみられる。電波を効率的に使うために必要となるデータ圧縮技術のほか、音響技術も日本連合が手掛ける考え。データ処理用半導体を共同開発するため、富士通とパナソニックの大規模集積回路(LSI)事業を統合したソシオネクスト(横浜市)も加わる。

 ソニーは開発した技術を使い、8K対応テレビにして20年に発売する計画。パナソニックは時期を明らかにしていないが東京五輪商戦に間に合うように市場投入する方針だ。販売では競合関係にあるため、テレビの基本的な性能やデザインなどは、それぞれが独自性を出して製品化する。

 8Kは対応するコンテンツがすぐには出てこないためテレビ市場の立ち上がりには時間がかかる。このためテレビメーカーが独自に開発しても収益確保が難しいとみられていた。パナソニックやソニーは販売好調な4Kテレビに注力するのと並行して8K製品の開発を進める。

 8K技術はパナソニックとソニーが主力とする放送局向け機器のほかデジタルカメラなど幅広い製品で採用される見通し。両社とNHKなどは政府の支援も得ながら次世代放送技術の主導権を握り、日本の方式を世界に普及させたい考えだ。