パナソニックは2017年から、鮮明な画像を表示できる有機ELテレビの世界展開に乗り出す。昨秋の欧州に続き来年4月にも日本で発売し、その後東南アジアや中南米にも広げる。きめ細かな画像が表示できるなどと訴える考えで、価格は韓国LGグループ製品をやや上回る水準にする方向だ。液晶テレビと並ぶ商品に育て、テレビ事業の底上げにつなげる。
欧州最大の家電見本市「IFA2016」で明らかにした。有機ELテレビは自ら発光する有機材料を使う。液晶と比べて色がきれいで、表示の切り替えが速いのが特長だ。ただ、テレビ用パネルは量産が難しく、供給者が限られている。15年の世界市場は33万5千台で、9割以上をLG製品が占めた。
 


 パナソニックはパネルをLGグループから調達したうえで、独自の画像処理技術を採用する。開発した画像処理半導体を使い、きめ細かな画質を表示できるようにする。具体的にはプラズマテレビで培ったノウハウを活用。黒色の深みを増すことで、鮮やかな色がよりくっきりと見えるようになるという。

 デザインでも高級感が出るようにする。機種は主力と位置づける55型と、より大きな65型の2機種を同時に発売する方針。国内の量販店ではLGエレクトロニクス・ジャパンの最新型55型有機ELテレビが46万~47万円台、65型で90万円前後で売られている。パナソニックはやや高い価格にする考えで、55型で50万円前後になるもよう。独自技術を使った画質の違いなどを訴えれば、消費者の支持は得られるとみている。

 すでに欧州では昨年10月末に65型を9999ユーロ(約120万円)で販売した。パナソニックは日本をはじめ新興国にもエリアを広げ、液晶テレビと並ぶ主力商品にする。

 パナソニックのテレビ事業はかつて巨額の赤字を計上したが、16年3月期には部門損益が8年ぶりに黒字転換した。この間、不採算だった北米と中国からの撤退など構造改革を実施。17年3月期の世界のテレビ販売計画台数は約640万台と、ピークだった11年3月期よりも6割少ない。

 現在はフルハイビジョンの4倍の解像度のある「4K」対応の液晶テレビを主力とする。これに有機ELテレビのほか、次世代型の「8K」テレビの製品化も視野に入れており、テレビ事業の底上げにつなげる。

 消費者にとっても、LGグループ以外の選択肢が増える。パナソニックの投入で販売台数が増えれば、高額な有機ELパネルの値下がりも期待できそうだ。