JDI Mobara 20151113
ジャパンディスプレイ(JDI)が、スマートフォン向け液晶パネルを増産する。米アップル、中国スマホメーカーからの受注が急増しているためだ。足元のJDIの資金繰りは厳しいが、受注を捌き切れれば状況は改善する。JDIの真の課題は中長期の戦略をどう描くかにある。有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルの量産に乗り出すのか、それとも優位性のある液晶パネルを進化させるのか-。その経営判断はJDIの命運を左右する。
 アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」向け液晶パネルなどを手がけるJDIの茂原工場(千葉県茂原市)と能美工場(石川県能美市)は、高水準の稼働を続けている。茂原工場を巡っては「(12月に閉鎖予定の4・5世代の)古い生産ラインまで活用して増産を急いでいる」(業界関係者)。


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 もう一つの理由は中国スマホを巡る受注動向の変化。スマホ世界3位のファーウェイは、技術志向が強くディスプレーにも高機能パネルを採用するが、「サプライヤーの1社が品質問題を起こし、パネルが足りなくなった」(パネル製造装置メーカー幹部)。このため、すでにファーウェイの主力サプライヤーとして取引実績のあるJDIに受注が流れたようだ。
しかし有機ELの液晶パネルに対する優位性を疑問視する声は根強い。自ら発光する材料を使う有機ELパネルは、画像が鮮明であることや、省エネルギー性が特徴とされてきた。しかし長内厚早稲田大学ビジネススクール教授は「今では液晶パネルの技術が進化し、画質も視野角も液晶のほうが上回っている」と指摘する。
 液晶に比べ劣勢に立たされる部分もある。液晶パネルのようにバックライトを搭載する必要がないため、究極的にはコスト低減できるが、足元では液晶の2倍ともいわれる。また赤と緑、青の画素パターンを塗り分けるメタルマスクを精緻に制御することが難しく、フルハイビジョン(FHD)の4倍の解像度を持つ「4K」への対応など高精細化にも不向きと言われる。
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