スマートフォン向けを中心に、有機ELの普及が加速する動きを見せている。この傾向は“本物”と見ているがリスクもあるので検証したい。 11インチ以下をメドとする中小型フラットパネルディスプレー(FPD)の生産能力(面積ベース)は、テレビ向けなどに多く使用されているアモルファスシリコンが主流。有機ELのシェアは現時点で約6%にすぎない。そのうちのほとんどを韓国のサムスンディスプレイ(SDC)が占め、主にハイエンドスマホ向けに供給している。
みずほ証券の予想では2016年のアイフォーン向け液晶ディスプレーパネルの供給は、JDIが8700万枚、韓国のLGディスプレイ(LGD)が8500万枚、シャープが5700万枚。一方、有機ELは、2017年に5000万枚、多ければ8000万枚程度の供給が想定され、その全量をSDCが占めそうだ。


アップル向けには月当たり9万〜10万枚の生産能力を割り当てるとみられる。これは5.5インチ換算で年間2.1億〜2.3億枚分に相当し、すべてのアイフォーンに有機ELを採用したとしても間に合う計算となる。
有機ELは薄さ、色再現性や動画表示性能のよさなどで強みを持つが、こうした点では液晶ディスプレーも引けを取らない。決定的な違いは形状の可変性であり、将来的に有機ELは折り畳みや折り曲げ、さらには巻くことも技術的には可能である。 とはいえ、折り曲げ可能な有機ELパネルはまだ量産可能な状況ではない。
SDCが2018年ごろまでに折り曲げ可能なパネルの大量供給体制を確立するメドを立てないと、アップルが契約満了後にほかの技術を採用する可能性も否定できない。 資金潤沢なSDCは、関連投資を自己資金で賄い、アップルの資金を活用しない。それが、アップルの将来の選択肢を増やすことにもなる。
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