21日付蘋果日報によると、EMS(電子製品受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業は、シャープ買収で有機EL(OLED)パネル技術を獲得したのに続き、IC設計大手のアーム・ホールディングスと提携し、アップルをはじめ顧客に対しトータルサービスを提供する考えとみられる。
提携拠点と伝えられる中国・深センには、アップルも今月中旬、研究開発(R&D)センターの設立を表明した。
鴻海はシャープが持つ半導体技術の活用も視野にあるようだ。
日本経済新聞は20日、鴻海がソフトバンクグループが買収したアームと、深?に半導体の開発・設計センターを設置することで合意したと報じた。

鴻海、アーム、ソフトバンクは、いずれも市場観測に対しノーコメントだ。アームはスマートフォン用チップ市場でシェア95%を占めている。

 郭台銘(テリー・ゴウ)董事長はソフトバンクの孫正義社長と親しい関係にある。深センでのIC開発・設計センターが実現すれば、インドでの太陽光発電事業での合弁、ソフトバンクのヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」の受託生産および台湾販売に続く提携拡大となる。

 鴻海は毎年10%成長を目指しているが、世界のスマホ需要低迷を受けて今年1~9月連結売上高は前年同月比3%減となっており、新たな成長エンジンが必要だ。

 業界関係者は、鴻海は受託生産だけでなく、顧客の重要部品も生産することで、業績成長を目指す考えだと指摘した。アップルは来年のiPhone8に有機ELパネルを採用するとみられている。半導体や有機ELパネルは売上高、利益ともに、鴻海の受託生産と比べてはるかに高い。

 業界関係者はまた、鴻海もかつてASIC(特定用途向け集積回路)開発を試したが、成果を出せていないと指摘。今後、IoT(モノのインターネット)の発展に伴い、ASIC需要は拡大するとの見方を示した。

 市場調査会社、ICインサイツの予測によると、今年のIoT向けチップの市場規模は184億米ドルで前年比19%増え、19年には296億米ドルまで拡大する見通しだ。市場調査会社、IDCによると、IoT市場規模は19年に5兆米ドルを超える予測だ。

 郭董事長は今年6月の株主総会で、シャープは1970年代に半導体に参入したが、技術を「家に置きっぱなし」で十分に活用できていないと指摘。シャープがこれまでに生産したドライバICは50億個に上り、液晶パネルだけでなく、電気自動車(EV)やIoT市場も狙えると話していた。

 また郭董事長は先週テレビインタビューで、深センでの8K4Kテレビのエコシステム(ビジネスの生態系)構築を通じ、IC設計・製造に参入したいと語っていた。郭董事長はアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)の深セン訪問に同行し、深?市政府と複数の提携覚書(MOU)を交わしている。