中国商務部が公表したデータによると、外資企業による中国に対する投資は引き続き増加傾向にある。しかし今年上半期、松下、東芝などが生産ラインを中国から撤退したのに続き、最近では韓国のサムスングループ、アメリカアップルの関連企業が撤退し、中国の製造業に大きな衝撃が走った。特にアップルという巨大な帝国の製造チェーンのほとんどが中国にあり、もし撤退ということになれば、中国に大失業時代が到来するだろう。

 8月25日、サムスンの主要なサプライヤーである、深セン艾迪斯電子科有限公司が生産の停止を宣言した。企業関係者によると、艾迪斯はここ数か月給料の未払いが続いていたという。深セン艾迪斯電子科有限公司は韓国の上場企業であるIDSが中国に投資して創業した独資企業で、登録資本は2,880万ドル(約29億3,760万円)。主にLED(液晶ディスプレイ)、LCM(液晶モデュール)、FPCB、SMTなどを扱い、現在韓国の同業企業のトップにあり、主要な顧客はサムスン電子、モトローラ、ノキアである。



サムスン、ノキアがベトナムに移転したため、艾迪斯の命運と結末は決定したのと同じだ。これまでの状況からみて、艾迪斯の撤退は普光同様、計画的に進められたものといえよう。
 艾迪斯の従業員によると、6月の半分月、7月、8月の給料は未払いだったが、注文や生産は決して減少しなかった。8月25日、会社は突然生産停止を宣言した。艾迪斯は通告の中で、顧客の裕光、京東方から375万元(約5,625万円)を回収し従業員の給料を補填するとも述べている。このことから艾迪斯の撤退は完璧な幕引きをしたようだ。

 サムスンは中国で瞬く間に大きな力を持つようになり、傘下の企業が中国輸出企業のトップを占めるようになった。2012年からサムスンはベトナムで百億ドルの投資を行い、その結果中国の従業員は2013年の3万5,600人から2015年には8,580人まで減少した。同時に東南アジアのサムスンの従業員は14万400人に増加している。
 さらにサムスンの中国のサプライヤーは激しい動揺を受けた。まずトップのサプライヤーである、蘇州の普光、東莞の艾迪斯など中国で大量の従業員を抱えた工場が前後して倒産している。
 次にサムスンおよびサムスンのサプライヤーに提供する電子、包装資材、プラスチックなどの材料のサプライヤーが大きな打撃を受けた。トップ企業の裕同集団を例にとれば、サムスンの撤退によって、2013年の3.4億元(約51万8,000円)から2015年は1億元(約15億円)にも届かず、2016年はさらに減少している。この影響を受けた中国の包装印刷の大企業は数十社余りに達するだろう。

 2016年から中国におけるアップルの産業チェーンの形勢は急降下している。まず中国の内需が弱まり、アップルの売り上げが急激に減少した。しかも中国は政治的にロシア寄りとなり、欧米をリーダーとする西側と争う姿勢をとって、西側資本がパニックに陥っている。
 6月、アップルCEOのティム・クックがインドを訪問し、アップルのすべての生産ラインをインドに移転すると発表した。さらにフォックスコンが今後5年で総額100億ドル(約1億200万円)をインドのマハラシュトラに投資して、アップルの携帯製造基地を建設すると発表。来年下半期には第一号の工場が稼働し始めるという。今年7月アップル販売店で群衆が騒動を起こした事件で、中国の世論もアップルを非難している。アップルと中国の関係が徐々に「離婚」への道を歩んでいるかのようだ。

 もし巨大企業のアップルが中国から撤退したら、その影響力は計り知れない。世界に18か所あるアップルの組み立て工場のうち、14か所が中国にあり、200万近い中国の家庭を養っている。アップルの中国サプライヤーは400社近くあり、多くはそれぞれの業種のトップ企業で、従業員は数百万人に達する。もしアップルの産業チェーンがインドや東南アジアに移ったら、これは大変なことになる。

 サムスンなど外資企業の撤退に対し、中国の大多数の人々は全く意に介せず、中国市場を離れた外資企業は食いはぐれるとさえ考えている。
 実際、外資企業の重要性は一般の中国人の想像を超えている。2万社余りの外資企業が集まる広州市では外資企業が全市の工業総生産の62%、中央企業が集まる上海市では、外資企業の輸出総額と工業生産総額が全市の3分の2を占める。長江デルタの中心である蘇州市では、外資企業の生産額が全体の67.8%を、台湾資本が多い厦門市では外資が70%を占める。

 20年前、国有企業改革の過程の中で、中国の数千万の工場が淘汰され、莫大な数の労働者が路頭に迷ったとき、サムスンやフォックスコンなどは学歴・出身を問わず受け入れた。現在外資企業は天井知らずの不動産バブルで撤退を余儀なくされ、中産階級に冬の時代がやってきた。中国政府は不動産価格の暴騰や労働コストの急上昇を容認し、結局外資企業が中国を離れることになったが、中国政府はいまだ明確な対応措置を講じていない。