アサヒ電子研究所(大阪市中央区、和倉慎治社長)は、ガラスに近い防湿性能を持つガスバリアフィルムを開発した。試作用の製造装置も開発した。ガラスの代わりに折り曲げ可能なフィルムを基板に使う有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーの劣化を防ぐ新材料として、パネルメーカーなどに提案する。

 ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルム上に触媒化学気相成長法(CAT―CVD)で、酸素やフッ素を含むシリコン系化合物の薄膜を3層重ねて、厚さ0・5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の透明薄膜を形成する。薄膜の防湿性能を示す水蒸気透過量は1日・1平方メートル当たり0・00005グラム以下で、液晶基板用ガスバリア膜の2000分の1程度とした。



 同フィルムは中山弘大阪市立大学教授と共同で開発した。中山教授が設計・開発したフィルム試作用のバッチ式製造装置は試作品の製造などで協力するフィルムメーカーの麗光(京都市右京区)に、このほど納入した。有機ELパネルの量産ライン内で連続成膜する装置の製造も可能としている。

 フィルム基板を使う折り曲げ可能な有機ELパネル(フォルダブルOLED)は、米アップルが開発中の次世代スマートフォンに採用するとの観測がある。