シャープの社長に今年8月に就任した戴正呉氏は29日、台北市内でメディアの取材に応じ、これまでに推計で約100億円のコストカットを行ったと述べ、200億円の削減も「それほど難しくない」との考えを示した。戴氏は今年下半期での黒字化を目標としている。

戴氏はシャープを買収した鴻海(ホンハイ)グループの董事(役員)で副総裁。シャープの社長就任から間もない8月22日には、社員に向けて経営方針を発表した。同氏はこの方針について、「内容が細かくて皆驚いていた」と語り、陰では「聖書」と呼ばれていると明かした。

戴氏は、「年末までにシャープの改革を終わらせたい」としたほか、高橋興三前社長は事業を5つのカンパニーに分けていたが、それぞれが勝手に振る舞っていたと指摘。経営者としての資質に疑問を呈した。一方、「ワン・シャープ」を掲げる戴氏は、全員が共同体だとして団結を呼びかけているという。

シャープは2018年までに東京証券取引所1部への指定替えを目指すとしているが、戴氏は目標達成のためには安定した成長と収益が必要だと強調した。同社は債務が資産を上回る「債務超過」となり、8月に2部に降格している。

このほか、シャープの独立性を確保するため、近く鴻海の董事を辞任する可能性を示唆。一方、グループ副総裁の進退については、「まだ決めていない」とした。

戴氏はこの日、母校大同大学(旧大同工学院、台北市)の創立60周年を記念する式典に出席。大学側から名誉博士号を授与されている。