鉄鋼や自動車、IT(情報技術)まで100社以上の傘下企業を抱え、1000億ドル以上の企業価値を持つインド最大の財閥タタ・グループの持ち株会社タタ・サンズ取締役会は10月24日、約4年前に就任したばかりの同社会長のサイラス・ミストリ(48)を突如解任、2012年末に勇退した前会長ラタン・タタ(78)の会長復帰を決定した。  
ミストリ前会長が株主やボードメンバーの信任を失ったため、というのが表向きの理由だが、ミストリ氏はこれに激しく反発。翌25日にグループのガバナンスや意思決定の不透明さ、さらには違法行為の可能性をも指摘する反論の書簡を取締役会あてに送り付けた。


タタ自動車は「ナノ」プロジェクトのため、現モディ首相のお膝元、西部グジャラート州サナンドに年産能力30万台の専用工場まで建設したが、予想に反して販売は不振を極めた。生産台数は一時月産1万台を超えたものの2015年度の合計は2.1万台、今や月産600台前後という有様だ。1車種で年間20万台以上を販売するマルチ・スズキのエントリー・モデル「アルト」と比べてももはや勝敗は明らかだ。
 テレコミ分野も首位バルティ・エアテルやボーダフォン、リライアンスなどに押されてじり貧が続く。累計で10億人を超える加入者がいるインド携帯電話市場でタタのシェアは6%弱の5800万人で国内7位。日本のNTTドコモとの提携解消問題は訴訟沙汰に発展した。ミストリ氏は「ドコモとのディールには最初から多くの疑問があった。おかげでテレコミ事業からの撤退には40-50億ドルものコストがかかる」と指摘するなど、2012年に自身を会長に据えた前任のラタン・タタ氏はじめ取締役会を厳しく批判している。
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