鴻海科技集団(フォックスコン)が今年フィーチャーフォン(通話中心の携帯電話)事業を買収したノキアが、来年スマートフォンを発売する計画で、鴻海が製造を担う。
鴻海が受託生産している韓国SKテレコムの新型スマホ、Luna(ルナ)も韓国とインドネシアで販売好調で、鴻海は今後アップル以外のスマホの貢献が期待できそうだ。
観測によると、ノキアは来年2月27日からスペイン・バルセロナで開かれるモバイル業界の見本市、モバイル・ワールド・コングレス(MWC)で、新型スマホを展示し、スマホ復活計画について詳細を説明する予定だ。同時に、バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)、ヘルステクノロジー、特許ライセンス事業を3大経営の主軸として発表する予定だ。


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 ノキアは以前にも、来年スマホを発売する方針だと明かし、ノキアの特許とブランド力、鴻海の研究開発(R&D)、製造力を合わせ、鴻海とともにノキアに共同出資しているHMDグローバルOyが設計、販売を行うと説明していた。HMDは今後3年で5億ユーロ(約590億円)を投じる計画のようだ。

 ノキアがこれまでスマホ復活計画を公開しなかったのは、マイクロソフト(MS)とのスマホライセンスと生産の契約期限が今年10月だったためとみられている。

 ノキアは2年前にマイクロソフトが54億5,000万ユーロが買収したものの、立て直すことができず、鴻海が今年フィーチャーフォン事業と権利、ベトナム工場、設備、労働力などを3億3,000万米ドルで買収した。HMDがノキアブランドのライセンスを取得したので、鴻海にとっては顧客のスマホブランド各社との競合を回避できるメリットがある。ノキアはかつてフィーチャーフォンの世界首位だったが、スマホの普及で急転落しており、スマホ受託生産に強い鴻海の協力が大きな力になる見通しだ。

 郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は先日、ルナは韓国で若者に人気で、わずか3週間で3万6,000台売れたと話した。インドネシアではメディアに「インドネシア版iPhone」と評され、ミドル~ハイエンド市場をターゲットに、今年3,000万台の販売を見込む。

ルナの今年の出荷予想は従来1,500万~2,000万台だった。証券会社は、アップルの新型スマホ、iPhone7の売れ行きは普通だったが、ルナは出荷目標を大幅に引き上げており、鴻海の携帯電話事業の新たな成長のけん引役だと指摘した。

 スマホ市場では、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に続き、ルナの他、広東欧珀移動通信(OPPO)、広東歩歩高電子工業(vivo)など中国ブランドが一部市場で急成長している。