経営再建中のシャープの人材難が深刻化している。業績低迷で2012年と2015年に計6000人超の希望退職を実施したことに加え、不振を防げなかった旧経営陣が相次いで競合他社へ移るなど、流出が続いている。
親会社となった台湾の鴻海精密工業との連携を深めるも、立て直しに向けた担い手の不足感があり、新たに技術者の採用を始めた。一方で鴻海は、スリム化のため国内外で更に大規模な人員削減の可能性も示唆しており、方向感が今ひとつ定まらない。再建が思惑通り進むか、不透明な情勢が続く。


昨年実施した希望退職と2012年分を合わせ、既に6000人を超す社員がシャープを去った。ある男性社員は「これ以上の人員整理は無茶だ。乾いた雑巾を絞るようなもの」と漏らす。  しかし鴻海側は人員や業務の面で効率化できる余地がまだ大きいとみて、改革の大なたを振るう。急速な職場環境の変化に、不安を抱く社員は少なくない。
 先行きの不透明さが根強いシャープだが、京都大学をはじめ関西の名門大出身の技術者が依然多く、他社には人材の「宝の山」と映っているようだ。ある大手エネルギー会社の幹部は「シャープさんの社員とある研修で一緒になったが、どなたも優秀だった。我が社でもすぐに戦力になってもらえる印象だ」と持ち上げた。
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