ソフトバンクの孫正義社長が米国時間6日、トランプ米国次期大統領と会談し、今後4年で500億米ドル投資すると表明したことに関連し、鴻海科技集団(フォックスコン)も70億米ドルを投資するとみられている。鴻海は7日、米国の関係機関と交渉中と認めた。8日付経済日報は、鴻海の米国投資はアップルのスマートフォン、iPhoneに限定せず、▽人工知能(AI)ロボット▽IoT(モノのインターネット)▽テクノロジーベンチャー▽インターネット──分野でハードウエアとソフトウエア統合を計画していると報じた。
 
ソフトバンクの孫社長は、今後4年で5万人の雇用を創出するとも表明した。孫社長が手にしていた投資計画書には、ソフトバンクのロゴと鴻海のロゴが並んでおり、投資額は500億米ドル+70億米ドル、就業機会創出は5万人+5万人と印字されていた。このことから、鴻海が70億米ドルを投資し、5万人を雇用する計画とみられている。

 トランプ次期大統領の選挙公約、製造業の雇用復活に呼応し、米国での大型投資を表明したのは、東アジアのハイテク大手で初めてだ。



 元智大学管理学院の許士軍講座教授は、鴻海に限らず台湾企業にとって、米国投資は製品の販売価格を安くできなくとも、政治的な問題を考えれば必要との見方を示した。

 鴻海は、米国投資の詳細は公表していない。

 証券会社は、鴻海はまずパソコンの組み立てや包装を米国に移転すると予想し、スマートフォンは難易度が高いと指摘した。台湾のiPhoneサプライチェーンは、原材料の輸送コストや作業員の教育訓練を考えると米国生産までに半年~1年かかるため、来年発売のiPhone8は間に合わず、2018年発売の新機種も少量しか生産できないと予想した。

 別の証券会社は、米国生産はコストが2~3割増えるので、人件費を押さえたスマート工場の重要性が増すと指摘。市場では、鴻海傘下の産業用コンピューターメーカー、樺漢科技(エノコン)の名前が上がっている。エノコンは米国に顧客が多い上、今年HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)のアメリカンインダストリアルシステムズ(AIS)を買収したことで、航空宇宙、軍事、鉄道、政府機関などのサプライチェーン入りを果たしている。

 鴻海は米国で1997年、99年にバージニア州、カリフォルニア州で物流センターを、06年にインディアナ州でデスクトップパソコン工場を設置している。郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は3年前にペンシルバニア州を視察しており、市場では次の投資はペンシルバニア洲の可能性が高いとみられている。

 郭董事長と孫ソフトバンク社長は親交が深い。14年にソフトバンクが発売したロボット「Pepper(ペッパー)」の生産、台湾販売を鴻海が担っているほか、15年にはインドで現地企業と3社で太陽光発電事業の合弁会社を設立した。今年8月の鴻海のシャープ買収、9月のソフトバンクのARMホールディングス買収に続き、市場では鴻海とARMが中国・広東省深圳市に半導体設計センターを設立するとの観測が出ている。こうした提携の拡大が、米国への共同投資につながったとみられる。