アジア最大級のディスプレー国際会議「IDW/AD '16」(2016年12月7日~9日、福岡国際会議場)では、昨年(2015年)に続き、会期2日目に「Inovative Demonstration Session」が開催され、多くの人で賑わった。
OLED(有機EL)とFLX(フレキシブル)のワークショップを中心に聴講した。今年の特徴は、既定路線となった「有機EL+フレキシブル化」を支える量産技術に関する実用的な発表が多かったことだと思う。この量産技術を先に確立したところだけがモバイル用ディスプレーで生き残るのだという緊迫感のようなものを会場で感じた。先行する韓国2社とそれを追いかける中国・日本勢の熾烈な競争の幕は既に切って落とされているのである。


 台湾AU Optronics社(AUO)は、内側と外側の両方に180度曲げられるフレキシブル有機ELディスプレーを発表した(論文番号OLED1-1)。これまで片側に180度曲げた例は数多く発表されているが、両側に180度曲げて実際にデモした例は少ない。開けばタブレット端末、逆向きに閉じて使えばスマートフォンという製品イメージは分かりやすい。
 三菱マテリアルは、トップエミッション用のアノード電極として従来の「ITO/Ag/ITO」の代替を狙った透過率の高い透明電極材料を紹介した(論文番号OLED1-2)。従来のITO/Ag/ITO構造と比較して、短波長側で反射率が3.8%向上する。また、エッチング時における中間層のAgの後退量が1.15μmから0.38μmへ抑制されるため、反射電極としてのパターン精度が向上するという。
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