tv_2017 sharp鴻海精密工業傘下となったシャープは来年、サムスン電子、LGエレクトロニクスにとどまらず、中国テレビブランド2位、海信集団(ハイセンス)向けのテレビ用液晶パネル供給も大幅に削減する。削減率は9割。
鴻海傘下の群創光電(イノラックス)もハイセンス向け供給を削減する。テレビブランド競合に対するパネル供給を打ち切ることで、生産力に打撃を与え、シャープのテレビ出荷目標1,000万台の達成につなげる。20日付工商時報などが報じた。

 市場調査会社、IHSマークイットの謝勤益(デビッド・シェイ)シニアディレクターは、シャープのパネル供給が来年300万~400万枚減少し、パネル市場の需給がさらに逼迫(ひっぱく)すると予想した。

 鴻海は先日、シャープブランドの2017年テレビ出荷計画を1,000万台以上へと、従来の600万台から上方修正した。特に中国市場では45、50、60、70インチのテレビに注力する「天虎計画」を推進する。




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 シャープとイノラックスが、これらサイズのパネル供給を削減すれば、パネルを調達してきたテレビブランドは打撃を受ける。テレビ市場では、鴻海とシャープだけでなく、▽TCL集団と傘下パネルメーカーの深圳市華星光電技術(CSOT)▽京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)と傘下テレビ受託生産メーカーの京東方視訊科技(BOE-VT)──といったパネル、受託生産、テレビブランドの垂直統合が進んでいる。このため、パネル調達力はテレビブランドの競争力に直結する。

 証券会社の試算によると、サムスン、LG、ハイセンスのテレビ出荷台数は合計9,000万台で、世界市場でシェア4割を占める。

 ハイセンスは今年のテレビ出荷目標が1,440万台。40インチ台が500万台、50インチ以上も500万台と、大型テレビが中心だ。来年は1,700万台の目標で、中国市場向けが1,100万台、輸出向けが500万~600万台と、大量のパネルを調達する必要がある。

 ハイセンスは、来年はシャープから40、60インチなどのテレビ用パネルを200万枚余り調達するつもりだったが、鴻海は20万枚しか供給しない。イノラックスも、現在最も供給不足の40(39.5)インチのテレビ用パネルのハイセンス向け供給枠70万枚を削減する。このため、ハイセンスは来年、友達光電(AUO)からの調達比率を29%、深圳市華星光電技術(CSOT)からの調達比率を23%に高めて対応する予定だ。

 業界関係者からは、鴻海がシャープ買収に伴い、シャープの北米での液晶テレビ事業をハイセンスから回収しようとしたが、ハイセンスが同意しなかったため、パネルの供給削減に踏み切ったとの見方も示された。

 サムスンは従来、来年はシャープから40、60、70インチなどのテレビ用パネル450万枚を調達する計画だった。サムスンのテレビパネル調達の8%に相当する。ところが、来年第2四半期からパネル供給が突然断たれることになり、サムスンはサムスンディスプレイ(SDC)、イノラックスに40インチパネルの供給拡大を依頼し、▽AUO▽BOE▽CSOT──からの調達を増やすほか、競合に当たるLGDからの調達も検討している。

 SDCは来年も自社向け26%の構成比は維持するため、供給を減らされるソニーはLGDを主要調達先とし、AUOからの調達を増やす。鴻海グループのパネル供給調整は、サプライチェーンの再編も引き起こしている。


[参考] 野心 郭台銘伝