アップルがインド政府と現地生産の可能性について協議していることが、政府関係者2人の話で明らかになった。インドでの販売を増やし存在感を高める狙いがある。

 政府関係者がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に語ったところによると、アップルは11月に政府へ宛てた書簡で、計画について説明し、進める上での優遇措置を求めた。ここ数週間で商工省などの当局者がこの件について話し合った。

 アップルの広報担当者はコメント要請に応じていない。

 アップルは「iPhone(アイフォーン)」などの製品を現地生産すれば、インドで直営店を開設できブランド力を高められるだろう。インドのスマホ市場は急成長しているが、アップルのシェアは5%にも満たない。



 調査会社IDCによると、インドのスマホ市場は来年米国を抜き、中国に次ぎ世界2位になる見通し。中国での販売増はアップルの成長を支えてきたが、最近では伸びが減速している。

 事情を知る関係者の1人は「アップルは中国のモデルをインドで再現することを望んでいる」とし「優遇措置も求めており、関係省庁が検討している」と述べた。

 アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は5月、インドに工場を設立する計画はないとしていたが、インド政府はその後、クックCEOがモディ首相とニューデリーで会談した際、この問題について話し合ったことを明らかにした。

 インドはモディ首相の下、長期的に成長を持続させるため、投資の誘致や製造拠点の設立、雇用の創出に躍起に努めている。

 アップルは1月、インドでの直営店開設について政府に認可を求めた。アナリストらはこれでインドでの存在感が高まるとみている。

 インド政府は6月、一部の業種に対する外国直接投資(FDI)規制を緩和し、アップルなど単一ブランドを扱う外資系小売企業に、原材料や製造部品の少なくとも30%を現地で調達することを条件に、3年後に直営店を開設することを認めた。ただ、インドでは端末向け高性能部品を製造する業者が多くないことが、アップルにとって課題となりそうだ。

 関係者の1人は現地生産をすればアップルが要件を満たせるとみている。アップルは現在、端末の販売を現地の流通企業や小売会社を通して行っている。

 アップル製品は組み立ての大半を中国で行っており、台湾の電子機器受託製造(EMS)大手である鴻海(ホンハイ)精密工業が大きな役割を担っている。鴻海はコメントを求める取材に応じていない。韓国のサムスン電子や中国の小米科技(シャオミ)など多くのスマホ大手は、インド市場向けに現地組み立てに着手している。