電子機器受託生産大手の緯創資通(ウィストロン)が、2017年にアップルが発売するとみられるスマートフォン次期機種「iPhone8」のサプライヤーに加わるとの観測が浮上している。事実であれば、近年ノートパソコン以外の分野を積極的に開拓してきた同社にとって重要な成果といえる。
ただ、来年の出荷規模は鴻海精密工業、和碩聯合科技(ペガトロン)に遠く及ばない上、受注が粗利益の低い4.7インチ機種に限られる場合、業績への貢献度合いは観察が必要とみられる。28日付経済日報が報じた。



 受注観測の根拠となっているのは、同社が今年9月、主にスマートフォンを生産している中国江蘇省の昆山工場で、設備投資額の上限を従来の1億3,500万米ドルから2億米ドルに引き上げたことだ。生産力倍増が見込まれるこの措置は、スマホの大型受注と良品率の大幅向上が背景にあるとみられている。ウィストロンは27日、観測に対し「特定の顧客についてはコメントできない」と表明した。

 アップル側にとっても、ウィストロンを新たなサプライヤーを加えることは、リスク分散の上でメリットがある。ウィストロンは以前、廉価版のiPhone5cを受注した実績があるが、証券会社は、アップルは当時から、ウィストロンに経験を積ませて、将来新モデルの生産を委託することを狙っていたと分析した。

 ウィストロンのiPhone8の受注割合がどの程度になるのが注目されるが、証券会社は、4.7インチ機種全体の5%との指摘が出ている。この場合、はっきりとした利益貢献があるかは不明だが、将来的には受注割合を拡大できる可能性もある。どの程度の良品率を実現できるかが鍵となりそうだ。

 なお、iPhone8では従来鴻海が独占してきた5.5インチ機種を、ペガトロンが5~10%受注することも予想されている。ペガトロンは依然4.7インチ機種が中心で、全体の65%を獲得する見通しだ。

 アップル製品の動向分析で定評がある凱基証券投資顧問(KGIインベストメント・アドバイザリー)の郭明錤アナリストは、iPhone8は▽光学式手ぶれ補正搭載のデュアルカメラ▽ガラス筐体▽ワイヤレス充電──などの大幅なモデルチェンジにより買い替え需要が拡大し、iPhone全体の17年出荷台数は2億2,000万~2億2,500万台と、今年の2億1,200万台から3.8~6.1%増加すると予測した。

 郭アナリストは、iPhone8はハイエンドの5.1~5.2インチ有機EL(OLED)パネルモデルと4.7、5.5インチの液晶パネルモデルの計3機種となり、17年下半期の出荷台数は、有機ELパネルモデルが9,000万~1億1,000万台でiPhone8全体の50~55%を占めると予測。4.7インチは30~35%、5.5インチは10~15%とみている。